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金正恩氏の健康不安説、あらゆる可能性を視野に冷静かつ綿密に備えるべきだ

金正恩氏の健康不安説、あらゆる可能性を視野に冷静かつ綿密に備えるべきだ

Posted April. 22, 2020 08:03,   

Updated April. 22, 2020 08:03

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北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が手術を受けた後、重体に陥っているという情報を米政権が注目していると、CNNなど外信が21日に報じた。これに先立ち、国内の北朝鮮専門メディア「デイリーNK」は、北朝鮮内部の消息筋の話として、「正恩氏が心臓血管系手術を受け、妙香山(ミョヒャンサン)特閣に滞在し、治療を受けている」と伝えた。しかし大統領府は、「現在まで北朝鮮内部の特異な動向は把握されていない」と明らかにした。

 

正恩氏の健康異常説は未確認の情報だ。しかし、その可能性は低くない。健康異常説はすでに、正恩氏が政権の正統性をアピールする最も重要な行事である15日の太陽節(金日成誕生日)の参拝に初めて姿を現さなかったことで提起されていた。北朝鮮メディアは幹部の錦繍山(クムスサン)太陽宮殿の参拝を報じたが、そこに正恩氏の姿はなかった。正恩氏が公式の席に姿を見せたのは、10日前の労働党政治局会議が最後だった。

過去にも北朝鮮最高指導者は長期間、公式メディアに姿を見せなかったことがあり、そのたびに健康問題と権力闘争説が提起された。正恩氏は2014年に40日余り姿を消した後、つえを突いて現れたことがあった。足首の膿腫(のうしゅ)を除去する手術を受けたことが後でわかった。一昨年の南北首脳会談の時も、正恩氏は短い距離を移動しても息切れするなど慢性疾患を患っている様子だった。

 

今回は、手術後の重体説まで流れたが、韓国政府は慎重な反応を見せ、事実でない可能性に重きを置くムードだ。敏感な南北関係に考慮してか情報力欠如のためかは今後を見なければならない。北朝鮮が閉鎖的な孤立国家であるため、韓米当局の先端情報力をもってしても限界を有するほかない。北朝鮮政権は、最高指導者が長期間姿を見せないことを内部の動揺勢力を見つけ出す粛清の契機に利用したこともあった。

北朝鮮の閉鎖性のため、真偽の確認には時間がかかる。その間に、うわさは拡大再生産されるほかなく、国内の株式市場と外国為替市場まで動揺した。独裁体制で権力者の空白は、政権内の権力闘争と共に予測不可能な体制崩壊につながりかねない。3代世襲までして堅固な権力を誇示してきた政権なので、すぐに急変事態が起こるとみることは安易な予断だろうが、そのような北朝鮮と休戦ラインで接している状況で警戒心を緩めることはできない。

 

正恩氏の健康が重篤でなくても、公式の席に出られない状態なら、北朝鮮は一層閉鎖と孤立に陥るだろう。掌握力が緩まないよう一層内部を固く締めつけ、外部には好戦的な態度に出る恐れがある。体制の安全が最優先である脆弱国家の不安障害と過剰行動を管理することも、韓国にとって侮れない課題だ。政府は、北朝鮮の動向を綿密に注視し、あらゆる可能性を念頭に置いて冷静に備えなければならない。