Go to contents

「北朝鮮軍=敵」の削除とGP試験撤去、急ぐことではない

「北朝鮮軍=敵」の削除とGP試験撤去、急ぐことではない

Posted August. 23, 2018 09:54,   

Updated August. 23, 2018 09:54

한국어

国防部が年末に発刊する予定の国防白書で、「北朝鮮政権と北朝鮮軍は我々の敵」という表現を削除することを検討している。南北間の軍事的緊張の緩和を合意した4月の板門店(パンムンジョム)宣言によって敵対行為解消措置を北朝鮮側と協議する状況で北朝鮮の政権と軍を敵と位置付けることは矛盾するため、北朝鮮の軍事的脅威を別の表現に変える案を講じるということだ。

国防部はまだ確定していないというが、「北朝鮮軍=敵」の表現削除は既に予告されていた。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は昨年、大統領選候補だった時、自身の安保思想をめぐる論議にもかかわらず、北朝鮮を敵とは規定できないという認識を示した。テレビ討論でも、「それは国防部がすべきであって、大統領がすることではない」という立場を堅持した。今や文政権の国防部が自ら、大統領の対北認識に従う措置を実施しようとしているのだ。

国防白書に北朝鮮を敵と初めて位置付けたのは1995年。94年の南北板門店接触で北朝鮮側代表が「ソウル火の海」発言したことを受け、国防白書に「北朝鮮は主敵」という表現が登場し、00年まで維持された。しかし、南北首脳会談を機に「主敵」表現が争点化すると、国防白書に代わって主敵概念が抜けた「国防政策」が現れ、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権時代の04年、刊行された国防白書では「現存する脅威」、「直接的な軍事脅威」などの表現に変わった。そして10年の北朝鮮の延坪島(ヨンピョンド)砲撃事件後、今と同じ表現が再び登場した。

今回、この表現が抜けるなら、再び激しい論議が起こることは避けられない。今は、北朝鮮が「完全な非核化」を約束した後も、核兵器の生産中止の動きが見えない状況だ。「北朝鮮=敵」表現が削除された場合、将兵の対敵観に基づいた軍の安保認識が弱まる恐れがあり、北朝鮮にも誤った信号を与えかねない。このため、北朝鮮の実質的な非核化と軍事的信頼づくりがなされた後に推進しても遅くはない。性急な決定の先例が加われば、今後も南北関係の変化や政権の意向によって、入れたり抜いたりが繰り返されるほかなく、その度に論議が再燃することは火を見るよりも明らかだ。

国防部が推進する非武装地帯(DMZ)内の監視警戒所(GP )の試験撤去も然り。宋永武(ソン・ヨンム)国防長官は、「南北が共に、双方から近い10のGPを撤去することで合意した」と明らかにしたが、時期尚早という指摘は避けられない。特に、北朝鮮には約160、韓国には約80のGPがあるので、南北が同じ数のGPを減らした場合、韓国の警戒態勢だけが弱まる。同数ではなく比例でなければならず、それも北朝鮮の実質的変化の後に推進しなければならない。