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子どもの泣き声にも動じなかったトランプ氏、妻と娘の反対で「不法移民の親子の引き離し」を撤回

子どもの泣き声にも動じなかったトランプ氏、妻と娘の反対で「不法移民の親子の引き離し」を撤回

Posted June. 22, 2018 07:40,   

Updated June. 22, 2018 07:40

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トランプ米大統領が強硬に推進した「不法入国者の親子引き離し収容指針」を撤回した。非難世論が起こるや、密入国で摘発された親は起訴して処罰し、同行した未成年の子どもは倉庫やテント村に収容する非寛容政策をあきらめたのだ。急激な方向旋回の背景には、スロベニア移民の夫人メラニア氏の反対が大きく作用したという。

CNNなどによると、トランプ氏はホワイトハウスで20日、子どもと親が収容施設で一緒にいられるようにする内容の大統領令に署名した。トランプ氏は署名式で、「この大統領令は不法入国者でも家族が一緒に過ごせるための措置であると同時に、非常に強力な国境を確実にする」とし、「家族が離れている姿は良くなかった」と撤回の理由を説明した。これで親と未成年の子どもを引き離して収容する政策は、施行1ヵ月あまりで廃止された。トランプ政府が先月初めにこの政策を施行し、未成年者1995人が親と引き離されて保護施設で生活しているという。

政策の施行で、不法入国者の幼い子どもが親から引き離されて泣き叫ぶ様子を撮影した写真が最近、メディアの報道を通じて公開された。その後、トランプ氏は米政界だけでなく宗教界や海外の各国首脳から「非人道的な密入国家族の引き離し収容政策を撤回せよ」という圧迫を受けてきた。ローマ法王は19日、「子どもを親から引き離して閉じ込める非人道的なポピュリズム政策は、移民問題に対する解決策になれない」と強く批判した。

米朝首脳会談で北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長から非核化の約束を取りつけたことで起こった「ノーベル平和賞をトランプに」世論も、引き離し収容をめぐる論議で力を失った。ノルウェーのノーベル平和賞委員会の一員であるトルビョーン・ヤクラント欧州評議会事務総長は20日、メディアとのインタビューで、「国境で子どもたちを親から強制的に引き離すことは、トランプ氏がもはや米国や国際社会の道徳的指導者でないという信号だ」と批判した。

国内外のこのような批判に物ともせず国連人権理事会(UNHRC)の離脱を宣言し、移民政策を変えない立場を固持したトランプ氏が突然態度を変えたのは、メラニア氏と長女イバンカ大統領補佐官の水面下での圧力が影響を及ぼしたと見られている。

米紙ニューヨーク・タイムズは匿名のホワイトハウス官僚を引用して、「メラニア氏は密入国家族の引き離し収容政策に対して、『子どもを親から引き離すことは正しくない。別の案を模索しなければならない』と反対した」と伝えた。娘イバンカ氏と夫のクシュナー大統領上級顧問も、「国境で密入国家族を引き離して収容する過程で発生する政治的混乱を避けなければならない」と助言したという。

トランプ氏は大統領令に署名した直後、「妻と娘イバンカがそれ(引き離し収容撤回)に非常に確固たる考えを持っていることを知った」とし、「私も家族が離れて暮らすことを見たくない」と明らかにした。イバンカ氏はトランプ氏の大統領令署名直後、ツイッターに「米国境で家族の別れを終わらせる重要な措置をしたことに対して大統領に感謝する」とつぶやいた。

メラニア氏はスロベニアでモデルとして活動した1996年、訪問ビザで米国に来た。2001年に永住権を得て05年にトランプ氏と結婚した後、翌年米国に帰化した。最近メラニア氏の両親が永住権を得て米国に滞在し、市民権を取得する予定であることが伝えられ、トランプ氏が反対してきた「連鎖移民」(移民者の家族が相次いで永住権を取得すること)事例という論議が起きた。

一方、トランプ氏は引き離し収容を撤回する大統領令に署名したが、不法入国者を追放する代わりに起訴して拘束する非寛容政策は維持すると明らかにした。トランプ氏は署名前、ホワイトハウスで共和党議員と会って、「私たちは強く出なければならない。さもなければ米国は、望まず容認しない人、犯罪者が溢れる国になるだろう」と強調した。


孫宅均 sohn@donga.com