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米国とユネスコ

Posted October. 14, 2017 10:58,   

Updated October. 14, 2017 11:06

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韓水山(ハン・スサン)の小説を原作にした映画「軍艦島」は、長崎港付近の端島を背景に、強制徴用の隠された歴史を扱った。鉄筋コンクリートの建物がぎっしりと入った島がまるで軍艦のように見えてつけられた名前であり、朝鮮人徴用者たちにとって軍艦島はほかならぬ生き地獄だった。

◆ユネスコ(UNESCO・国連教育科学文化機関)といえば、ほとんどの人が世界遺産を思い浮かべる。ところが、世界遺産をめぐる問題で組織が揺れている。 2015年7月、日本は海底石炭を採掘した軍艦島が近代産業革命遺産だと主張し、韓国の反対を押し切って、文化遺産に登録させた。ユネスコは、「強制労働を認めなさい」という勧告を付けたが、日本が履行しなくても沈黙した。ユネスコに二番目に多い寄付をする日本が、ともすれば分担金を武器に振り回すからである。2年前、中国南京大虐殺資料の世界記録遺産への登録に反発して分担金を保留したが、今年も支払いを先送りした。韓国など8カ国の市民団体が推進する日本軍慰安婦記録物の登録審査を防ぐためのものと見られる。

◆日本より2倍以上のお金を出す首位の後援国・米国が12日、来年末を機にユネスコから脱退すると公式通報した。1984年もユネスコのソ連への偏りと放漫な運営を理由に脱退したが、2002年に復帰したので、今回が二回目となる。今回の脱退理由は、ユネスコが7月、ヨルダン川西岸のヘブロンの聖地をイスラエルではないパレスチナの遺産として登録するなど、「反イスラエル性向」を表わしたという。ユネスコ側は、「国連の家族の損失であり、多国間主義に損失だ」と憂慮した。

◆ユネスコ憲章の最初の部分はこのように始まる。「戦争は人間の心から始まったので、平和を守ることも人間の心から始まらなければならない」。1945年、人類共栄と世界平和を目指して発足したユネスコが激しい外交戦の場となっている。自国優先主義を打ち出したトランプ政権の発足後、人類の普遍的価値を議論する多国間外交の舞台で、米国が超大国として重大な存在感と責任を投げ出しすことが多くなっている。国際社会のリーダーとして長い時間念を入れて築いてきた塔を自ら壊すような気がして残念だ。

高美錫(コ・ミソク)論説委員