先月24日の日本語版出版を控えて、すでに翻訳版契約の競争に火がつき、先印税30億ウォン説まで出回っている。しかし一部からは、「日本で3日間で48万部が売れた発売直後、書店街での熱気が予想よりも早く冷めたことを見落としてはならない」という声も出ている。
この作品は26日、日本のアマゾンサイトの人気書籍ランキングで、2部が41位、1部が42位についた。19日までの記録が公開されたオリコン週間ベストセラーチャートには、1部が2位、2部が4位を守っているが、下落傾向が見られる。
26日に電話した出版社の関係者らは、「契約に影響を与える可能性がある」として、皆匿名を要求した。とある中堅出版社の主幹は、「品薄現象をもたらし、読者が書店に予約をしておいて、ようやく手にすることができた『1Q84』(2009年)の時とは状況が違う。作家の認知度があまりにも高く、低い金額での契約は実現できないだろうが、かなりのリスクを甘受しなければならない」と話した。
しかし、むしろ日本市場のこのような状況が、韓国版マーケティングには好材料として働くだろうという分析も出ている。この本の中国南京大虐殺の言及への日本の右翼の攻勢が、日本書店街に否定的な影響を与えたが、逆に韓国読者には、前向きな関心と期待を誘発だろうという。1937年12月、南京を占領した日本軍が6週間行った民間人虐殺事件について、春樹は小説で、「10万人でも40万人でも膨大な数の市民が戦闘に巻き込まれて殺害されたことは否定できない事実だ」と書いた。
とある出版社の代表は、「会社内外で日本語版を先に求めて読んだ人たちの評判はすべていい。個人的には『春樹の最後の大作』になるだろうと期待している」と語った。別の出版社の代表も、「ノーベル賞受賞への期待を一層高める作品が出てきたとの意見が大勢だ。春樹の魅力的な世界観の提示が変わっていない上、『1Q84』より、物語の流れに早く没頭できるようにまとまっている」と話した。
孫宅均 sohn@donga.com