ヴェルディ「リゴレット」に出てくるアリア「女心の歌」は「La donna è mobile」で、「女性は(心の行方がつかめず)動く」という意味だが、「女性は動く」と直訳すればそのニュアンスを生かすこができない。プッチーニ「トスカ」に出てくる「星は光りぬ」は「E lucevan le stelle」で、「そして星は光った」だ。主人公のカヴァラドッシがこの歌を歌う時も明け方なので、現在形の「星は光る」はおかしくはないが、歌詞を見てみると、恋人と星が光る夜空の下で一緒にいた幸せな過去を振り返る内容だ。
タイトルのために歌の内容を誤解することもある。1797年の今日(11月29日)誕生したドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」には「人知れぬ涙」という有名なテノールのアリアがある。間違った翻訳ではないが「主人公が悲しむ歌」と誤解しやすい。実際の内容は、自分が恋する女性が涙を流すのを見て「私を愛する証拠」だと喜ぶ歌だ。
歌詞の冒頭を取ってタイトルの代わりに使うと、時には誤解が生じることもある。グノー「ロミオとジュリエット」には、主人公のジュリエットのアリア「Ah! Je veux vivre. Dans ce rêve」がある。翻訳すれば「ああ、私は夢に生きたい」だ。ところで「夢」を取って「Ah! Je veux vivre」だけで「ああ、私は生きたい」と翻訳する場合がしばしばある。イメージが完全に変わってしまう。
12月6日、ソウル芸術の殿堂コンサートホールでは、有名な声楽家による独唱と合唱の「ソリスト・アンサンブル」送年音楽会が開かれる。ソプラノのキム・ヒジョンはグノー「ロミオとジュリエット」のアリアを歌う。「むろん」間違いなく「その夢に生きたい」というなめらかな翻訳がプログラムに載っている。
유윤종 ユ・ユンジョン記者 gustav@donga.com