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[オピニオン]天才ピアニスト・ユンディ・リーのマナー喪失

[オピニオン]天才ピアニスト・ユンディ・リーのマナー喪失

Posted November. 03, 2015 07:10,   

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クラシックの巨匠たちは、舞台で自分だけの癖が現れることが多い。伝説的なディーバ・マリア・カラスは、体調がよくなければ、コンサート当日でも公演を取り消すことが日常茶飯事だった。傍若無人な氏の態度に観客は失望し、氏の末年(晩年)は不幸だった。「もっともよいマナーは、演奏への自信から出てくるものだ」というピアニスト、キム・ソンウクの言葉のように、実力は演奏者の基本だ。しかし、それ以上にクラシックはマナーを重視する芸術だ。

◆演奏者の表情や手つき、歩き方など、その一つ一つは公演の満足度に影響を及ぼす。そのため、キム・ソンウクを始め、多くの演奏者は、観客に挨拶する角度や歩き方まで、別途に舞台教育を受ける。その意味で、ロシア人ピアニスト・エフゲニー・キーシンは素晴らしい演奏者だ。彼は来韓公演のたびに、ピアノが壊れるほど情熱的な演奏を披露し、30回のカーテンコールや10回のアンコール要請をもいとわないマナーで、韓国で「情熱的なファン」を従えている。

◆先月30日、中国が生んだ天才ピアニスト、ユンディ・リーが、芸術の殿堂のコンサートホールで、シドニーシンフォニーとの共演中、拍子をずれて演奏をやり直すというとんでもない出来事が起こった。ユンディは誰だろう。郎朗と共に中国が生んだ芸術家であり、2000年のショパンコンクールでトップに選ばれた時はわずか18歳だった。優れた実力でハンサムなので、クラシックスターとしては何一つ欠けるものがない。2015年のショパンコンクールでは、審査委員として参加し、チョ・ソンジンに高い点数をつけ、チョ・ソンジンがトップに選ばれるのに貢献した。

◆巨匠も緊張すれば、ミスをすることもあるだろう。ユンディがミスをしたとき、観客は拍手で励ました。しかし、彼のその後の行動は失望を与えた。彼は、表紙がずれたのがまるでオーケストラのせいであるかのように、左手を上げながらイライラした表情を見せ、予定のサイン会やインタビューもキャンセルしたまま、ホテルに直行した。ホテルでは、ハロウィンの衣装をまとった写真をフェイスブックに掲載し、「驚かせてやるぞ、明日」という書き込みを掲載した。少なからぬ金や時間を費やして公演会場を訪れた観客への礼儀ではない。観客を驚かせる狙いだったなら、彼は成功した。その翌日、観客は本当に驚いたのだから。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com