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[オピニオン]「アラバマ物語」の大反転

[オピニオン]「アラバマ物語」の大反転

Posted July. 15, 2015 07:16,   

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03年に上映された林相洙(イム・サンス)監督の「浮気な家族」は、家族が皆浮気をするという挑発的な内容だ。主人公のチュ・ヨンジャクはどんでん返しのある人物だ。彼は韓国戦争での虐殺事件を弁論する良心的な人権弁護士だが、若い女性と不倫する俗物的欲望の虜だ。

◆14日、全世界で同時出版された小説家ハーパー・リー(89)の2作目の小説「ゴー・セット・ア・ウォッチマン」の内容をめぐって米国社会が揺れている。1作目の「アラバマ物語」の続編が55年ぶりに出版されるという知らせに、高齢の作家がちゃんと判断したのか論議を呼んだ小説だ。問題は、「アラバマ物語」で無実の黒人容疑者を助ける正義の弁護士として描かれたアティカス・フィンチが、続編では人種差別主義者に描かれたことだ。米国人の心の英雄が幻滅の対象に転落してしまった大どんでん返しが起きたのだ。

◆「ゴー・セット・ア・ウォッチマン」は、「アラバマ物語」の前に執筆された原稿だ。本の出版後、米国のメディアは、「ゴー・セット・ア・ウォッチマン」のような秀作から傑作を引き出した編集者の役割に注目している。西欧では、文人の草稿が本として出版されるまで編集者の影響が大きく作用する。見る目がある編集者は、小さなミスから内容、文体に至るまで作家と話し合い、偉大な作品の誕生の核心的な役割をする。そのため、作家と編集者は時には友のように、時には敵のように近くて遠い関係だ。

◆俳優コリン・ファースの次回作「ジーニアス」は、ヘミングウェイとトーマス・ウルフの伝説的な編集者マックスウェル・パーキンスについての映画だ。文学史には、有名な作家・編集者カップルが登場する。エズラ・パウンドはT・S・エリオットの代表作「荒地」の編集者だった。パウンドは草稿の半分以上を削除し、「英語になった世界で最も重要な詩が生まれた」と自負した。チャールズ・ディケンズは、「ポンペイ最後の日」を書いた作家兼編集者のエドワード・ブルワー=リットンの意見を聞いて「大いなる遺産」の最後の部分を手直しした。もし「アラバマ物語」の編集者に意見を聞いたなら、高齢の作家が「ゴー・セット・ア・ウォッチマン」を出版しないよう阻止したことだろう。

高美錫(コ・ミソク)論説委員 mskoh119@donga.com



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