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[社説]金相坤氏の「無償バス」は決して無償ではない

[社説]金相坤氏の「無償バス」は決して無償ではない

Posted March. 14, 2014 06:31,   

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金相坤(キム・サンゴン)前京畿道(キョンギド)教育監が12日、京畿道知事への出馬を宣言し、「バスの完全公営制を段階的に実施し、無償公共交通の第一歩を踏み出す」という公約を掲げた。結論から言って、大変危険で無責任な発想だ。4年前、教育監選挙を控え、いわゆる「全面無償給食」攻勢で利益を得たことで、今回はさらに深刻な弊害が伴う「無償バス」公約を掲げたのだ。「無償給食」であれ「無償バス」であれ、実際は無償ではなく国民の税金だ。バスを無償にするには税金をさらに徴収し、別のところにかかる税金をバスに充てるほかない。

バスの完全公営制とは、京畿道のバス会社をすべて京畿道の公社にし、バスの運転手を地方公企業の職員にすることと相違ない。小規模の奥地なら分からないでもないが、広域地方自治体でこのような制度を導入した所は、先進市場経済国家だけでなく、公式的に社会主義体制である中国でも見あたらない。京畿道庁関係者は、「京畿道がソウル市のように民営バス会社の赤字を一部補填する準公営制を導入しても、毎年5000億ウォンの予算が必要になる。完全公営制は兆単位の追加費用がかかるだろう」と憂慮を示した。

金氏は、「京畿道で初めて無償給食を始めた時、多くの人が憂慮したが、全国的に広まって普遍福祉が時代精神になった」と主張した。しかし、無償給食の予算が増え、京畿道教育庁は学校施設の改善補修や英語教師の拡充といった教育関連予算を減らした。景気低迷で地方税収まで急減し、京畿道は無償給食予算を2013年の874億ウォンから今年572億ウォンに削減した。金氏は、自分の財布から金が出て行くなら、このような形の無責任な選挙公約は出せないだろう。

20世紀始め、世界の10大富国の1国だったアルゼンチンは、産業国有化、福祉拡大などペロン主義というポピュリズムの亡霊で墜落し、今も後遺症で苦しんでいる。日本の民主党は2009年の総選挙で高速道路の無料化、無償医療といったばらまき公約を掲げて政権交代に成功したが、政権後、財源調達が難しくなると、公約をあきらめて国民に謝罪した。民主党政権が3年余りで総選挙で惨敗したのには、「無責任で無能な政党」というイメージも一役買った。金氏が無償交通の公約を掲げたのも、一部から批判を受けても、ひとまず選挙で勝つという「ノイズマーケティング」の性格が濃厚だ。

金氏の公言どおり京畿道が無償バスを導入すれば、地方税を大幅に引き上げない限り、別の分野の投資は激減し、道の財政は破綻するだろう。金氏は、いかにして莫大な財源を調達するのか具体的な代案から提示しなければならない。「金相坤式ポピュリズム」が横行するのを防ぐには、有権者の覚醒が何よりも重要だ。京畿道民だけでなく、すべての国民が今回の地方選挙で、聞こえはいいが、地方自治体と国家の財政を使い果たして将来世代に負担を押し付けるポピュリスト候補を見分け、厳しく審判しなければならない。