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[オピニオン]白頭大幹の生態通路のキバノロ

[オピニオン]白頭大幹の生態通路のキバノロ

Posted January. 09, 2013 03:07,   

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黄褐色の毛のキバノロは、シカ科の哺乳動物だ。雄雌いずれも角がなく、先が曲がった長い牙が発達しているのが特徴だ。韓国では、金剛山(クムガンサン)、五台山(オデサン)、雪岳山(ソラクサン)を中心に韓半島の脊椎である白頭大幹(ペクトゥデガン)に多く生息する。単独か2〜4頭が群れをなして生活し、排泄物を残したり木の皮をむいて縄張りを示す。生息場所から遠く離れずに戻ってくる帰巣性を持っている。

◆白頭大幹の梨花嶺(イファリョン)の生態通路にカメラを設置して分析した結果、キバノロが移動する姿が昨年末に捉えられた。雪原のあちこちキバノロの排泄物と足跡も残っていた。キバノロの出現は、地域の生態系が回復し始めたといううれしい信号だ。険しい場所に生態通路があり、動物の移動が困難ではないかと憂慮されたが、幸いキバノロが戻ってきた。1925年、日本が新しい道を作るために、白頭大幹の本脈に位置した海抜548メートルの梨花嶺を断ってしまった。政府は、日本の植民地支配期に断たれた白頭大幹の生態軸を結ぶ事業に48億ウォンを投じ、昨年11月に梨花嶺の復元事業を終えた。87年ぶりに忠清北道槐山郡延豊面周榛里(チュンチョンプクト・クェサングン・ヨンプンミョン・チュジンリ)と慶尚北道聞慶市(キョンサンプクト・ムンギョンシ)聞慶邑各西里(カクソリ)をつなぐトンネルができ、その上に長さ80メートル、幅50メートルの生態通路が造成された。梨花嶺に続き、白頭大幹の断たれた12ヵ所の区間も今後復元される予定だ。

◆生態通路は、野生動物が道路を渡らずに生息地を行き来できるように作られた道だ。道路やダムなどの建設によって断たれた野生動物の移動路を再びつなぐために作った人工構造物と植生でできている。ウィキペディアによると、1950年代にフランスで初めて生態通路が設置された。その後、ドイツ、スイス、フランスなど欧州各国で野生動物の生態系を保護するためのトンネルや陸橋の形の生態通路が作られた。オランダには長さが800メートルの生態通路がある。韓国では、1998年に智異山(チリサン)シアムジェに初めて設置された。人間の暮らしに余裕ができてこそ動物を保護できるようだ。

◆野生動物が道路を渡って自動車にひかれる事故を「ロードキル(Roadkill)」と呼ぶ。韓国道路公社の調査によると、2004年から2008年までに中央線、中部線、湖南(ホナム)線などの高速道路で約1600件のロードキルが発生した。動物の種類はキバノロが58%で最も多かった。生態通路は環境を保護する効果だけでなく、自動車と動物が衝突する突発事態による人命事故を予防する機能も果たす。人間の開発欲のために野生動物が自由に活動できる領域は減少している。生態通路の造成は、人間のために苦痛を受ける自然に対する最小限の礼儀だ。

高美錫(コ・ミソク)論説委員mskoh119@donga.com