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[社説]製造業の重要性を物語るアイルランドの墜落

[社説]製造業の重要性を物語るアイルランドの墜落

Posted November. 19, 2010 07:06,   

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「ケルトの虎」と呼ばれたアイルランドが、財政危機や景気低迷の重病にかかり、あえいでいる。今年のアイルランドの、国内総生産(GDP)比財政赤字の予測値は32%と、欧州連合(EU)の勧告値(3%)の10倍に上っている。実質的な経済成長率は、08年から今年にかけて、3年間連続して、マイナスと後退したことは明らかだ。最近、国際金融市場が頻繁に動揺したことも、アイルランドを始め、一部の欧州諸国の財政危機の再現への懸念のためだった。

1980年代初頭は、「欧州の後進国」だったアイルランドは、1980年代後半以降、金融や情報技術(IT)中心の早い経済成長を通じ、跳躍した。破格的なインセンティブ提供や英語圏国家というメリットを活かし、グローバル企業からの投資を引き出した。アイルランドの1人当たりの国民所得は、1990年の1万ドルから、一時は5万ドルを超え、英国を上回ったこともある。

しかし、製造業基盤が脆弱だったことが命取りになった。08年のグローバル金融危機は、アイルランドに致命的な打撃を与えた。不動産や金融産業、バブル崩壊、外資離脱によるアイルランドの金融圏の損失規模は、800億ユーロ(約122兆ウォン)と試算される。失業率は13.2%と高まった。IT分野などの海外企業は、インドなど賃金がより安価な国に移転した。現代(ヒョンデ)経済研究院は08年、「アイルランドが1人当たりの所得2万ドルを超え、配分重視の政策に転換したのも、成長の潜在力を引き下げた原因だ」と分析した。

アイルランドの現状は、金融やサービス業への依存度が高く、製造業が脆弱な経済、外国資本だけに頼る経済は、危機に見舞われたとき、どれほど脆弱なものかを生々しく見せ付けている。アイルランドの経済がうなぎ上りだった1990年代、「ピークを過ぎた」と評された製造業大国ドイツが、最近、「欧州の成長エンジン」として復帰したことも、注目に値する。ドイツの今年の経済成長率の予測値は、当初予想した1.3%から3.0%へと高まった。いち早く、「製造業は永遠だ」と強調した日本の牧野昇・三菱総合研究所元所長の洞察力は、依然有効だ。

韓国も、電子や自動車、化学、鉄鋼、造船など、主要製造業分野でグローバル競争力を身につけた企業各社のおかげで、グローバル経済危機の衝撃から割合早めに抜け出すことができた。張夏準(チャン・ハジュン)英ケンブリッジ大学教授は、「かつて、我々が北東アジアの金融ハブを目指し、モデルにしたアイルランドやアイスランド、ドバイのように、金融業だけに偏った国は、軒並み厳しくなった」と主張し、製造業を捨て、金融業に殺到する雰囲気を警戒しなければならないと指摘した。金融やサービス業もないがしろにしてはならないが、いかなる場合であれ、製造業のメリットを活かし、強化する努力を怠ってはならない。