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[オピニオン]ユネスコ無形文化遺産「料理文化」

[オピニオン]ユネスコ無形文化遺産「料理文化」

Posted November. 19, 2010 07:06,   

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食べることを除いて、フランス人の人生を想像することができるだろうか。アペリティフ(食前酒)→前菜→魚あるいは肉類→チーズとデザート→食後酒と続くコースは、フランス人が欠かさず守る食事の順だ。料理に合ったワインを添え、3時間続く食事の間、会話をする。フランス人がデモする時、しばしばマクドナルドの店舗を攻撃するのも、ファーストフードがフランス文化の自尊心を傷つけたためだと、フランスのメディアは分析する。

◆珍しい食材に、様々な妙技を駆使するフランス料理とは違い、トマトやオリーブなどを多く使う地中海料理は、素材の味を生かす。イタリアでは、首相が、料理で物議を醸し、辞任したこともある。左派民主党(PDS)出身で、98年に首相になったマッシモ・ダレマは、総選挙の直前に、「宣伝ビラをまき、ポスターを貼り、トルテリーニを作る寛大な活動家で構成された左派には未練がない」と発言し、激しい抵抗に直面した。トルテリーニは、ボローニャ地方の代表的なパスタだ。未熟な左派政策は実施しないという意味だったが、多くの有権者の怒りを買い、選挙で大敗した。誰かが韓国のキムチを軽蔑する発言をしたとすれば、同じことが起こるだろう。

◆フランス料理、地中海スタイルの食事、メキシコの伝統料理の3地域の料理文化が、16日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された。地中海スタイルの食事は、イタリア、スペイン、ギリシャ、モロッコが共同申請した。口承文学、地域祭礼、伝統音楽、伝統舞踊のような無形文化遺産はあるが、料理文化が選ばれるのは初めて。料理自体は申請対象ではなく、該当国家は、食材を得る方法、食事法、テーブルのセッティングや料理のストーリーを強調するのに力を入れた。これからは、料理をテーマにした文化戦争が起こるだろう。

◆料理には自負心のある中国人も、3地域の料理文化の、ユネスコ無形文化遺産登録を見つめる気持ちは複雑だろう。韓国も08年に、朝鮮宮中料理の登録を申請したが、当時、ユネスコは受け入れなかった。料理文化は、商業性を帯びる恐れがあるという理由だった。ドラマ「宮廷女官チャングムの誓い」で見たように、韓国は、料理の味、栄養、色に加え、陰陽の調和まで追求する。重要無形文化財38号の朝鮮宮中料理も、世界の舞台で価値を認められる日が来ることを期待する。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員shchung@donga.com