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[オピニオン]無罪確定者の名誉回復

Posted November. 11, 2010 07:11,   

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捜査や裁判は人が行うことなので、完璧であることは難しい。無実の罪で裁判を受け、長期間収監されることがある。米国では、DNA分析技術が発達し、無実にも関わらず、性的暴行殺人など重大犯罪の容疑で20年以上、刑務所で生活した人が釈放されることもしばしばある。憲法には、判決が最終確定するまで、無罪と推定する原則があるが、世間の人々は、立件や拘束されただけで、罪人と断定してしまう傾向がある。無罪判決を受けても、名誉を完全に回復することは難しい。

◆無罪の判決を受けた人に国家が補償する制度が、刑事補償制度だ。しかし、現行制度は、不十分この上ない。憲法第28条を根拠に刑事補償法ができたものの、金銭補償だけだ。それも、下限ラインが1日5000ウォンだ。23年間、変わっていない。すでに死刑となった場合には、執行前の収監日数に対する補償金に、最高3000万ウォンが加えられるにすぎない。誤った国家公権力の行使による補償金が、再度、人間の尊厳と価値を傷つける結果をもたらしている。その上、失われた名誉の回復は、刑事補償法のどこにもない。

◆法務部が、補償制度改善案を作成したのは幸いだ。1日の補償金下限ライン5000ウォンが、雇用労働部の定める最低賃金(来年3万4560ウォン)にまで引き上げられる。上限ラインは、現行1日16万ウォンを維持する。メディアに大きく報道された無罪被告人の名誉回復のために、新聞広告制度を導入したことは、評価できる。日刊紙に、事件番号や事件名、被告人、無罪理由の要旨などの広告が出されることになる。放送広告は費用が高く、除外された。1つの新聞に1度広告を出すが、大きさは3つの案で検討中だ。当事者が望む場合、法務部ホームページにも、無罪判決文を1年間掲載する。

◆刑事補償金と広告費は、国民負担になる。新しい制度が施行されれば、補償予算がこれまでより増えることは明らかだ。無罪の被告人を出さなければ、それだけ国家予算も節約できる。検事が、犯罪証拠を十分に確保せず、誤って起訴すれば、国民に対する背任行為になるということを意味する。国家の公訴権行使の主体として、重大な責任意識が求められる。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員sooya@donga.com