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[社説]資産隠しの巨額海外金融口座は堰を切ったのか

[社説]資産隠しの巨額海外金融口座は堰を切ったのか

Posted November. 09, 2010 07:07,   

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国内某メーカーのオーナーA氏は、スイスに秘密口座を持っている。海外に設立した現地法人やダミー会社を利用し、売上高を偽装し、造成した裏金が、この口座に入っている。裏金は、租税回避国のマレーシアのラブアンなどを経て「洗浄」され、国内に再投資された。一部は、変則的な相続に使用された。国税庁は、6ヵ月間に渡る調査の結果、海外口座を悪用したA氏の巧妙な脱税を摘発し、今年5月、21379億ウォンの税金を追徴する実績を上げた。

国税庁は、A氏など4人に対し調査を行い、スイスや香港、シンガポールの秘密口座14件の内訳を確保した。政府間協力を通じてではなく、情報市場で隠密に探し出したものだ。国税庁は、A氏のように、海外金融口座を利用した域外脱税は、懸念するレベルに達していると判断している。黒い金が金融実名制により、国内に隠れるところを失い、海外に隠れる現象と受け止められる。

域外脱税との戦いは、世界各国の国税庁の熱い懸案となっている。経済協力開発機構(OECD)や主要20カ国・地域(G20)メンバー国も、国際協力を強化している。まだ、宣言的な段階で、全ての国が脱税容疑者を巡る金融資料を共有しているわけではない。スイスと異なり、ラブアンは金融秘密主義を放棄せず、脱税を狙う国内企業とも引き続き取引を行っている。国税庁は、国内外法人の財務資料を照会できる国際取引税源分析システム(ICAS)を今年、構築し、国際脱税情報交換センターには昨年3月加盟し、脱税との戦いに備えている。

米国やオーストラリアのように、国内人や企業が海外に開設した口座を自主的に申告させる案も考慮できる。海外駐在員が生活資金として所持している通帳は問題ないが、借名口座まで動員し、数百万、数千万ドルを所持しているなら、脱税容疑が濃い。与党ハンナラ党の李惠鎡(イ・へフン)議員は、海外口座の届け制を明記した国際租税法や租税犯処罰法の改正案を提出している。海外口座を届け出なかった場合、摘発が難しいという現実的な難問があるが、処罰規定をおくだけでも、海外口座の開設を抑制する効果はあるだろう。

国税庁は、海外口座など脱税情報を収集する要員を、海外15ヵ所に配置し、現在、15人の臨時機構として運営している「域外脱税追跡専従センター」の常設化案を推進している。李鍱東(イ・ヒョンドン)国税庁長は、海外に流出する資金を把握する課税インフラを充実に構築し、「域外脱税は徹底的に追跡し、課税するつもりだ」という約束を、実績で見せてほしい。