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[社説]与党は低所得層を中間層に引き上げる対策を打ち出せ

[社説]与党は低所得層を中間層に引き上げる対策を打ち出せ

Posted October. 29, 2010 08:05,   

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法人税・所得税の最高税率を下げる問題で、与党ハンナラ党が一昨日の午前、「減税撤回」をの考えを示したが、午後に再びこれを覆すなど右往左往した。同党の安商守(アン・サンス)代表は、「鄭斗彦(チョン・ドゥオン)最高委員が『減税撤回』を提案したので、検討をして妥当であるなら最高委員会で議論してみるという趣旨だった」と釈明したが、根本的に「庶民寄り」への焦りと強迫観念がもたらしたハプニングであるということが、苦い後味を残す。

減税で経済の活性化を図ると公約してスタートした李明博(イ・ミョンバク)政府は、政権初期から減税を推し進めた。25%だった法人税率を、昨年は22%に下げ、今年はさらに20%に下げる計画だったが、野党が反発し昨年末の最高税率である22%を20%に下げる時期を2012年に、2年延期した。所得税の課税標準が8800万ウォンを超える高所得層に対する所得税率の引き下げも延期し、35%から33%への引き下げを2012年に実施することにした。鄭斗彦最高委員が提案したのは、2012年の税率引き下げ計画も白紙化しようというものだ。野党が「富裕層減税だ」と攻勢に出るのを断ち切る狙いだというが、主要先進国のように、減税を通じて民間投資の活性化や景気活性化、雇用の創出などの効果を図ると、堂々と言えない巨大与党の姿が気の毒に見える。

何よりもハンナラ党の一部で持ち上がっている減税撤回は、「庶民重視」だけを前面に掲げているが、真に庶民のためになる政治ではない。だれにも同じ水準の福祉の恩恵を与えるとか、お金持ちからもっと税金を取り立てるといった約束は、票を得るための政治的な甘言に過ぎない。お金持ちたちからもっと税金を取って庶民の生活を豊かにするという話は、低所得層を中間層に引き上げるような政策では決してない。投資と雇用を拡大し、所得や消費増大に繋げることで、低所得層が中間層が這い上がれるにすることが、真の庶民寄り政策である。崩壊した中間層が復元されなければ、国の将来自体が暗くなる。

企業は税金に敏感だ。税率が高いと会社を海外に移すこともある。租税政策というものは、生産活動を促進し、社会的浪費を抑制する方向で一貫性をもって進められなければならない。目先の人気に汲々として、租税政策を、手のひらを返すように変えるようでは、国の経済の競争力の強化は期待できない。わが国の法人税の最高税率は、競争関係にあるアジアの新興国のなかで一番高い方だ。台湾は、今年法人税率を25%から17%に下げており、中国も33%だった法人税を昨年から25%に下げた。競争国が企業の負担を軽くしているなか、我々だけが手を拱いていては、競争国に抜かれ、庶民は働き口を失ってしまう。