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DTI廃止、魅力的だが「毒入りリンゴ」の危険性も

DTI廃止、魅力的だが「毒入りリンゴ」の危険性も

Posted August. 31, 2010 03:04,   

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ソウル江南(カンナム)3区(江南、瑞草、松坡区)を除く地域の住宅の購入する実質需要者をめぐる総負債返済比率(DTI)が期限付きで廃止され、都市銀行各行は新たな貸し出し基準作りに乗り出している。DTI規制とは、住宅ローンを組んだ融資者が返済しなければならない元本や利息が、年間世帯所得の50〜60%を超えないように定めた規制。「8・29不動産対策」を受けて、これまで一括して適用していたDTI限度がなくなる代わりに、各銀行は自主的に所得による融資限度をまとめ、貸し出しを行わなければならない。

各銀行はDTIの廃止により、主な収益源の一つである住宅ローンをめぐる規制が撤廃されたことについて、ひとまずは歓迎ムードだ。しかし、住宅ローンの増加が延滞率の上昇へとつながりかねないことから、DTI廃止はやや魅力的ではありながらも危険な、「毒入りリンゴ」になりかねないという懸念も少なくない。

●DTIの自主適用で苦しむ銀行

各銀行は9月中に、新たな融資基準をまとめ、住宅ローンの販売に乗り出す方針だ。それに向け、近いうちにDTI限度を明記した融資関連内規を見直し、DTI限度を上回る融資を扱うことができないようにしたコンピューターシステムを整備する計画だ。それに向け、銀行によっては早ければ9月半ばから、以前のDTI限度を超過した住宅ローンができる見通しだ。

問題は、各銀行が住宅ローンの審査過程で、自主的に適用するDTI限度を決めることだ。政府は、各銀行が融資希望者の融資返済能力などを考慮し、自主的にDTI限度を適用するようにした。銀行の実務者らが、うかつにDTI限度を大幅に緩和し、住宅ローンの延滞率の上昇へとつながれば、銀行の不良化の可能性も高くなると見ている。

特に、DTIの期限付き廃止の最大の恩恵層が低所得層だということが、悩みだ。年間所得による融資限度であるDTIは廃止になる一方、購入する住宅価格による融資限度である住宅ローン認定比率(LTV)はそのまま維持され、低所得層が高価住宅を購入するために融資を受けることのできる金額は膨らむことになった。しかし、低所得層であるほど、すでに家計融資は飽和状態に達している世帯が多いだけに、貸し出し関連販売を大幅に増やせば、家計の不良へとつながりかねないという懸念も出ている。

ある都市銀行の関係者は、「政府が金融機関が自主的にDTI限度を適用すべきだ発表した狙いの解釈に苦心している」と言い、「不動産取引の活性化に向け、DTI限度を積極的に下げるべきだが、銀行の健全性も考慮しなければならず、ジレンマに落ちいているのが現状だ」と語った。

●住宅ローン誘致で競争激化は必至

各銀行はひとまず、DTI限度廃止が直ちには、住宅ローンの増加へと結びつかないだろうと見ている。住宅ローンをめぐる需要が増加するためには、住宅売買の取引が持ち直さなければならないからだ。

しかし、基準金利の引き上げを受け、銀行業界の預金が殺到している現状下で、不動産プロジェクトファイナンス(PF)融資の不良化などにより、資金を運用できる適当なところを探せない各銀行は、DTI廃止を受け、住宅ローンの道が開かれるものと期待している。実際、各銀行は不動産景気が最悪に突っ走った今年上半期も、企業融資に比べ、延滞率の低い住宅ローンを徐々に増やしてきた。これを受け、家計融資のうち住宅ローンの占める割合は6月末現在、65.2%と、史上最高値を記録した。

特に、各銀行が自主的にDTI限度をどれだけ緩和するかにより、住宅ローンの誘致競争へと広がりかねないという指摘も出ている。ある都市銀行の関係者は、「各銀行は当面、延滞率の上昇を懸念し、DTI限度を以前より10〜20%ポイントのみ引き上げ、住宅ローンの販売に乗り出すことになるだろうが、1、2行の銀行が思い切ってDTI限度を廃止する場合、住宅ローンをめぐる競争は激しくなるだろう」と話した。



yunjung@donga.com weappon@donga.com