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[オピニオン]CEOの食い逃げ

Posted August. 19, 2010 03:27,   

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国内の携帯フォンメーカーであるVKは06年7月、資金難で不渡りを出した。ソウル大学生時代に学生運動をした経験のある企業家として注目を集めていたイ・サンチョル同社社長は「被害を被った株主、役職員、協力会社、銀行などすべての関係者たちに深く謝罪の言葉を申し上げる」とし、「会社の早急な正常化のために最善を尽くす」と語った。「386」学生運動家出身のベンチャー神話の主役だった彼の失敗に同情を寄せる人も少なくなかった。

◆2年4ヵ月後の昨年1月、イ氏が大田(テジョン)地検に拘束されたことで明るみに出た犯罪内容は、再び社会に衝撃を与えた。検察によると、彼は最終不渡りを出す3ヵ月前の06年4月、経営状況を隠したまま有償増資を行って90億ウォンを手にした。05年には虚偽で研究所移転補助金を申請して18億ウォン以上を受け取り、偽装取引の企業を通じて13億ウォンを横領した。検察は、イ氏が与えた損失額が300億ウォンを超えると明らかにした。「会社はつぶれても企業家は腹を肥やす」という俗説が、わが社会でも通用していたのは、イ氏のような「食い逃げ」が法の網には引っかからなかったから可能だった。

◆米ニュース週刊誌「ニューズウィーク」は、経営失敗で会社を窮地に追い込んでいながら巨額を手にした代表的な企業家7人を選定した。ファイザーのCEOだったハンク・マッキンネルは、史上最大規模である1億2200万ドルの退職金と7800万ドルの追加補償を受けた。合わせれば2300億ウォンを超える莫大な金額だ。GM大宇(テウ)自動車社長を経験し、一般にも馴染み深いGMのリック・ウェゴナーと有名な女性CEOだったHPのカリー・フィオリナーも食い逃げCEOリストに名を連ねた。

◆08年のグローバルな経済危機は、1980年代以降拡散した市場万能主義やカジノ資本主義の影を顧みさせた。貧困と抑圧だけを生んだことが判明している社会主義が対案になるわけにはいかないが、英米流資本主義の限界も露呈した。短期成果至上主義と人員削減だけに熱中しながら、莫大な給料とボーナス、ストックオプション、退職金で懐を暖める一部CEOたちの振る舞いは許し難い。「人間の顔をした市場経済」や「節制のある市場経済」が求められている。権力、金、名誉など人々があこがれているものを手にしている人なら、自分が当然享受すべき権利だと思うよりは、それに伴う責任と義務について考えて見るべきだろう。

権純活(クォン・スンファル)論説委員 shkwon@donga.com