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[オピニオン]宋泰鎬教授と有識者

Posted August. 04, 2010 07:33,   

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フランスの有職者の歴史を綴った「有識者の誕生」は、フランスの小説家エミール・ゾラの話から始まる。1894年、ユダヤ系将校のドレフュスが軍事機密をドイツに売り渡した容疑で逮捕される。軍部がフランコプロイセン戦争の敗戦責任を免れるため彼を犠牲にしたと確信したエミール・ゾラは、証拠操作と隠ぺいを一つ一つ告発した。ドレフュスは1906年、フランス最高裁判所で無罪を言い渡された。

◆社会は有識者に簡単に判断し難い問題について、何が正しくて間違っているかを良心をかけて言ってくれることを望む。軍事独裁時代、わが有識者らはそのような役割をした。04年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領弾劾を取り上げたテレビ放送については、「いくら緩い基準を適用しても公正だったとは言いにくい」という結論を出し、偏り放送の議論に終止符を打った。05年、黄禹錫(ファン・ウソク)事件の時は、インターネットコミュニティの生物学研究情報センター(BRIC)が大きな役割を果たした。どうやってでも黄教授を信じたかった国民感情と権力の保護膜が結合した黄禹錫神話は、科学者の探求精神によって余地なく崩壊した。

◆08年の狂牛病事態は、科学に理念が重ねられた。狂牛病恐怖を拡散させた「死への饗宴」の著者「リチャード・ローズ」は、「人間狂牛病が大災害になるという出版当時(1997年)の予言が間違えた」と認めたにも関わらず、一部「有識者」らは逆の理論を展開させてソウルを「ろうそくの海」と化させた。今年、天安(チョンアム)艦事態はさらに複雑だ。「魚雷の爆発があったとしたら、『1番』の字が焼けて当然なのに、そうでなかったため、魚雷は決定的な証拠になり得ない」という米国大学の韓国教授らの主張が左派マスコミを通じて広がり陰謀説を膨れ上がらせた。

◆熱伝達分野の専門家の宋泰鎬(ソン・テホ)KAIST教授がこれに対する論文を発表した。爆発当時、1番という字が書かれた魚雷推進部の後面の温度は0.1度も上昇していないものと計算され、したがって、字が消えていないのは当然のことだと発表した。彼は「1番論争」を科学的に突き止める決心をした理由として、「専門家のうち誰かが真実を語らなければならないという考えのため」と答えた。でたらめな主張で国中が騒がしくなるのをこれ以上放っておくわけにはいかなかったということだ。やはり有識者の脈は切れていなかった。天安艦の真実をめぐる消耗的論争はもう終わってほしいものだ。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com