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[オピニオン]体罰の思い出

Posted July. 21, 2010 08:03,   

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04年に権相佑(クォン・サンウ)を一躍スターにさせた映画「マルチュク街の残酷死」。生徒のささやかな間違いにも言葉より先に拳を叩き込む教師が活躍する同映画は、私に不思議な既視感を起させた。1970年代の学校はジャングルであり、一部の教師は猛獣のようだった。中学校に入学したばかりだった。2部制の授業があるということを知らずに放課後、廊下を走っていくところで、ある男性教師に捕まえられた。顔を殴られ、目の前が真っ暗になり、私は廊下に倒れた。意識が遠のくほどビンタを食らわされたそのときの経験は忘れられないトラウマ(精神的な障害)になった。

◆多くの教育学者たちは、生徒の教育には体罰など、否定的なフィードバックよりは褒め言葉がより効果的だと主張する。米国をはじめ、大部分の先進国は古くから体罰を禁じている。体罰は、生徒の心を傷つけ、教師に対する反感を反感をもたらす場合が多い。身体的な苦痛はともかく、人権侵害の要素があるのも事実だ。最近、小学生を無差別的な暴力を振るう動画が公開された「オ・ジャンプン(殴られた子が長風に当てられたようにぶっ飛ばされたとして付けられた名前)」教師のように、常習的に.腹を立てて感情的になり児童に乱暴な対処をする教師が、韓国の学校現場に残っているのは嘆かわしいことだ。

◆ところが、体罰は使い方によっては子供たちを正しい方向へ導く触媒にもなれる。教師の体罰が、怒りの感情による暴力行為なのか、「愛による鞭」なのかは、生徒たちが一番よくわかっている。教師が生徒に暴力を受ける事例も増えている。数回手を叩いたり、運動場を走らせたり、座り歩きなど、最小限の体罰まで禁じられると、生徒指導は事実上諦めざるを得ないというのが、第一線の教師らの異口同音だ。

◆体罰に対する父母の意見は分かれている。郭魯鍱(クァク・ノヒョン)ソウル市教育監(教育委員長)が2学期から体罰を全面禁止するように指示した。長年の論争を経たにもかかわらず、まだ正解を得られなかった体罰問題が学校現場の意見収集や父母間のコンセンサス作りもできないまま、教育監一人の所信と判断によって決められるのは望ましくない。今回の措置は、郭教育監の公約である「生徒人権条例」制定に向けた地ならし作業だという見方も出ている。学生人権条例も、理想論にだけこだわっていい問題ではない。体罰については、当事者の教師と生徒、父母間に合意を経て、より賢明な決定を下すべきだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com