●タイムオフ制の白紙化を狙う労働界
金属労組は、起亜(キア)車などの中核事業所を前面に出して、事実上タイムオフ制の白紙化を図っている。主要事業所で専従者制度を維持すれば、残りの事業所も大きな流れに沿って、タイムオフ制から離脱する「バンドワゴン効果(同調効果)」が発生するだろうと主張している。
これを受け、160ヵ所あまりの団体協約締結対象事業所のうち、現在まで85ヵ所で専従者維持を取り付けたのに続き、今月末まではこれを100ヵ所以上へと増やす計画だ。金属労組の関係者は、「現場で、『起亜車のような大手事業所を含め、大半の事業所で専従者を現在の水準に維持するのに、なぜ我々はだめなのか』という主張が受け入れられている』と主張した。
労働界は、28日と29日のスト賛否を巡る投票を控えているGM大宇(テウ)自動車でも、高い賛成率を得るものと見ている。GM大宇車の場合、タイムオフ制のほか、「これ以上の賃金凍結には賛成できない」という見方が多く、賃金を巡る団体協約が難航する場合、大規模なストに突入する可能性もあるという。
しかし、タイムオフ制は組合執行部にだけ該当する、「彼らのみの話題」であり、組合員の参加を引き出すのに難航していることが変数となっている。すでに、金属労組は今月21日と25日に予告した全面ストへの組合員の参加率が落ちてい。専門家らは、全国民主労働組合総連盟(民主労総)がタイムオフ制闘争を事実上、金属労組に任せたのも、組合員の参加率が落ちることを見抜いたためだという見方も出ている。
自動車業界は、起亜車の投票結果についても、「労組が会社を相手に賃金交渉を行うことができるよう、批判的支持を行ったまでだ」とし、「起亜車の組合員の立場では、車の販売がうまく進み、さまざまな手当てを手にできる現状で、損してまで政治論理のストを行うのは難しいだろう」と見込んだ。
●法律を守れば損?…経営側の分裂が変数
労働界の強い要求に押され、一部企業は専従者制度を維持する裏合意を交わす現象が現れ、タイムオフ制の軟着陸は難しいだろうという見方も出ている。
25日、韓国経営者総協会(経総)が開催した懇談会に出席した20あまりの主要企業労務担当役員らは、「金属労組に立ち向かって1社もタイムオフ制の裏合意を交わす前例を残さない」と決意した。しかし同日、一部企業の関係者らは、「いくつかの企業が、『自分だけ避けて通ればいい』という考えで、裏合意を交わしたため、法律を守る側だけが被害をこうむっている」と、激しく不満をぶちまけているという。
ある会社の労務担当者は、「使用者らが、『他社では皆、妥協しているのに自分だけ原則を守ると言い張れば、標的になりかねない』として、相互を信頼しない、『囚人のジレンマ』に陥っている」とし、『一部の企業が内緒で、専従者維持を約束すれば、原則が崩れ、タイムオフ制の軟着陸は失敗しかねない」と語った。
これと関連し、経総は、「金属労組の主張とは違って、ほとんどの事業所はまだ、タイムオフ制関連交渉が合意に達していないことが確認された」と言い、「タイムオフ制と関連し、使用者も積極的な態度で、従来の団体交渉内容を見直すのが必要だ」と主張した。
経総によると最近、金属や保健、金融など業種別の主要企業35社を対象に、賃金団体交渉の現状について調査した結果、細部的な内容を決め、合意に達したのは5.7%に過ぎない。多くの会社がタイムオフ制関連交渉を見合わせたり(8.5%)、交渉を進めている(54.2%)のが現状だ。経総の関係者は、「ほとんどの企業は、他社の事例や労働部の立場などを見守っているのが現状だ」と述べ、「便法的支援に合意する場合、労働部の監督対象に含まれるのはもとより、来年に複数労組が全面的に認められた後、追加の負担もありうる」と警告した。
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