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改定図書館法で大学教材の一部がデジタルファイル化

改定図書館法で大学教材の一部がデジタルファイル化

Posted May. 13, 2010 07:32,   

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教室に座ってこそいるが、自分は「お払い箱」になったような気がした。教授と他の学生たちが教材を見ながら、問題を解いて話し合う間に語られたことを一字一句聞き逃さないようにしようと躍起になっていたが、数多くの言葉は頭の中からすぐに消え去ってしまった。今年3月、ソウル大学音楽部ピアノ学科に入学した金サンホンさん(19)。

金さんは、学期初めにはソウル大に入学した喜びよりは、はたして自分は大学生活をうまくやっていけるだろうかという心配が先に立った。高校時代までは、学習書が点字本となっていたためあまり不自由な思いをしなかったが、大学入学以降から資料不足のため勉強を続けることが困難な視覚障害者たちを多く見てきたためだ。

幸い、昨年9月図書館法が改定され、3月半ばから本の本文をデジタルファイルでダウンロードできるようになった。新しい図書館法によると、国立中央図書館の障害者図書館支援センターは、視覚障害者向けの読書資料を作るため、出版社にデジタルファイルで納本を要請できるということ。ボランティアたちがいちいち手作業で点字本を作ったり、朗読して録音したりしなくても、デジタルファイルを音または点字変換プログラムを使用し、わずか数時間で触覚または聴覚図書を作ることができるようになったのだ。

国立中央図書館は、改定図書館法に従い、今年1月、デジタルファイルの形について告示した後、障害学生らの申請を受け、59の出版社に書籍155種のデジタルファイルの納本を要請した。告示後、120日あまり経った今まで、納本されたデジタルファイルは計58種。金さんは、このような改定図書館法の初の恩恵者だ。

ソウル大出版社で、「教養国語」のデジタルファイルを納本し、金さんは3月半ばから教養国語授業は他の学生たちと同等に受けられるようになった。デジタルファイルを点字端末で再生させ、いつどこでも点字で教材の勉強ができる。

「デジタルファイルを提供され、端末で他の学生たちのように宿題もして行き、予習もできるようになったから幸運だと思います」。しかし、教養国語のように全科目にデジタルファイルが提供されているわけではない。このうち、完全に教材が提供されたのは教養国語一つしかない。それでも3科目は、出版社との協議を通じ、一部ファイルでも提供されているが、1科目はデジタルファイルがまったく提供されていないため、きちんとした授業が受けられない。

金さんは、今から次の学期の授業のことが心配だ。「来学期には、何科目にファイルが提供されるか心配です。学年が上がれば上がるほどもっと大変でしょう」

図書館法が改定されたが、すべての出版社が積極的に参加しているわけではない。依然として多くの出版社が、ファイルが流出すれば写本が作られ、出回ることを恐れ、協力に乗り気ではない。国立中央図書館から大学教材のデジタルファイル納本を要請された出版社59社のうち、7社がこれを拒否した。国立中央図書館の李・ヨンスク事務官は、「改定図書館法が施行されたばかりなので、まだ出版社の認識のズレがある」と述べた。

現在、韓国で本が見られない視覚障害者と重症障害者は約35万人に上る。しかし、彼らのため提供される点字や録音図書などは、年間総出版物5万種あまりのうち、2000種あまりに過ぎない。さらに、提供される大部分の本が本の内容をいちいち打ち込んだり、録音製作するため、通常製作に3ヵ月以上がかかっており、それも大部分が中高校の学習書に限っている。



yunjung@donga.com