「故障したのは右のライトなのに、なぜ左のライトまで修理するのですか」
昨年１２月、追突事故を起こしたＧＭ自動車ラセッティ（LACETTI）のドライバー・ハン某氏（３２）は、事故現場近くの自動車整備店に車を預け、悔しい思いで泣き寝入りしている。１００万ウォン程度と予想していた修理代が２００万ウォンを超えたためだ。整備店側が、破損してもいない部品を取替え、法外な費用を払わせられたのだ。ハン氏は、「最寄りの整備店に預けたのが問題だった。保険会社に通報したが、修理代を水増し請求したことを立証することは困難だと言い、請求された額をそっくり支払うほかなかった」と述べた。
大勢のドライバーらは、整備店から請求されるがままに修理代を支払うが、「もしかしたら、だまされているのでは」という疑念を抱く。東亜（トンア）日報の取材チームが、ソウルと京畿道（キョンギト）地域の１６の自動車整備店に同じ車両を預け、修理代の見積もりを調べた結果、いくつかの整備店が修理代を水増ししていることが明らかになった。
●同じ車両でも修理代はばらばら
３月１１日、ソウル江西区登村洞（カンソク・トゥンチョンドン）のＡ整備店。接触事故で前のバンパーが壊れた中型乗用車を修理に預けると、この整備店は修理代として５２万ウォンを請求した。同じ車両を京畿道富川市遠美区（プチョンシ・ウォンミク）のＢ整備点に預けた。同整備店が請求した金額は、１６２万２０００ウォン。同じ車両について、Ｂ整備店はＡ整備店に比べ、３倍も高い修理代を要求したのだ。
損害調査スタッフを通じ、見積書を分析したところ、Ｂ整備店はまったく故障していない部品を入れ替える手法で、部品価格と手間賃約３０万ウォンを上乗せ請求した。さらに、整備時間を伸ばし、手間賃を約３５万ウォンほど水増ししている。
取材チームが調査した１６の整備店のうち、Ｂ整備店のように修理代を水増ししているところは、１０ヵ所だった。保険会社と提携を結び、修理代を引き下げた整備店４店を除ければ、１２店のうち、１０店が追加金額を要求したわけだ。
現に、保険会社と提携関係にある整備店の平均修理代は７１万だったが、残り１２店は平均修理代として１０９万ウォンを請求している。１４０万ウォン以上を請求した整備店も３ヵ所にもなる。見積書を分析した損害調査スタッフは、「１００万ウォン以上を請求する整備店は、意図的に金額を水増ししたのだ。専門家ではない限り、気づかれないような巧妙なやり方で修理代を水増している」と指摘した。
●修理代の請求にも性差別
先月１３日、ソウル冠岳区（クァナクク）のＣ整備店。女性ドライバーが整備店に車両を預けた後、請求された金額は１１０万ウォン。数日前、男性ドライバーが同じ車をここに預けた際に、請求された修理代より２０万ウォンも高い。修理代の見積書を差し出し、その理由を問うと、整備店の従業員は、「女性だから値段をふっかけたわけではなく、車両を点検しなおしてみたら、修理すべきどころが新たに発見されただけだ」と釈明した。
ところが、見積書を分析した結果、整備店の従業員の説明とは裏腹に、部品を新たに入れ替えたり、より丹念に修理したため、修理代が高くなったわけではなかった。男性ドライバーに比べ、時間当たりの手間賃を３万〜５万を高目につけたり、部品価格にすでに請求されている付加税を改めて請求しなおす手法で修理代を水増していた。
女性ドライバーに法外な修理代を要求したのは、この整備店のみではなかった。女性ドライバーが訪れた４つの整備店が請求した修理代平均は１０６万ウォンで、男性ドライバーに請求した修理代９５万ウォンより１１万ウォン高い。修理代の請求にも性差別が存在するのだ。
●京畿地域がソウルより高い
自動車の修理代は、地域別でもばらつきがあった。京畿道富川市と高揚市（コヤンシ）など、ソウル郊外地域の整備店が、ソウル地域の整備店より高い修理代を請求している。京畿道地域の整備店４ヵ所の平均修理代（１２７万ウォン）は、ソウル地域の８つの整備店（１００万ウォン）より２７％も高かった。とくに、４店に３店の整備店が、１２０万ウォン以上の修理代を請求した。京畿道地域の一部整備店の修理代が高いのは、レッカー車の運転手に事故車両を牽引してくる見返りとして「謝礼金」を支払う慣行のためだと見る向きもある。修理代の１５〜２０％をレッカー車の運転手を与えるため、整備店は修理代にその「謝礼金」を上乗せ請求しているというのだ。
金ヨンチョルソウル市整備事業組合本部長は、「整備料金が５年間引き上げられず、経営難に陥った整備店が多くなり、整備店間の間で修理代のばらつきが見られる。標準整備基準を設ければ、このような問題を解決できる」と語った。
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