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[オピニオン]年齢と賢明さ

Posted April. 07, 2010 05:23,   

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知能は生まれつきなのか、それとも作られるのか。なぜ最近は、東洋人が西洋人より数学がよくできるのか。リチャード・ニスベット米ミシガン大学心理学教授は、この問題を巡り、文化と知能との関係に関する数多くの研究を発表している。「木を見る西洋人、森を見る東洋人」の著者として、韓国にも数多くの読者を抱えている氏は、「知能は遺伝ではなく、環境から影響を受ける」と主張する。韓国や日本、中国人が数学が得意な理由は、より懸命に勉強するためだと言う。

◆ニスベット教授は対立の解決に年齢が及ぼす影響についての実験結果を、最近発表した。研究チームは、ミシガン州に居住する247人を対象に、25〜40歳、41〜59歳、60歳以上の3つのグループに分け、対立状況を示し、その結果を予測させた。その結果、実験参加者の教育や知能、経済的水準も、賢明な判断に重要な要素として働いたが、年を取るほど揉め事の解決能力が優れていた。「年を取れば、知恵が生じる(Years bring wisdom)」という西洋の諺は、時代を超える真理だった。

◆高麗葬(高句麗時代に老衰した者を墓室に移し死後そのまま葬ったこと)風習のあった高句麗時代、朴ジョンスンは、年老いた母親を背中におぶって、山に登った。彼が涙を流しながら、別れのお辞儀をすると、老母は、「あなたが道に迷わないように、木の枝を折って印をつけておいたよ」と話した。到底老母を捨てることのできなかった彼は、国法に反して、老母を連れ戻し、こっそり面倒を見た。そのころ、唐の使者が同じ格好をしている馬2頭を連れてきて、どちらが母馬で、どちらが子馬かを見分けろ、という問題を出した。もし間違えたら、年貢を増やすと主張した。この問題で悩んだ息子に、老母が話した。「馬を飢えさせた後、まぐさを与えなさい。先に食べる方が子馬だよ」。高麗葬を廃止することになったエピソードとして伝えられている。

◆「自宅に老人がいなければ借りなさい」というギリシャの格言は、人生経験がどれほど大事であるかを示す言葉である。家庭と同様に国や社会にも、賢明な年寄りが必要だ。もちろん、年を取れば記憶力が落ち、人の話になかなか耳を傾けず、自分の経験に固執する傾向もある。その代わりに、年齢は記憶力を持ち去ったスペースに、洞察力を置いていく。老人の知恵や経験を活用できない社会は発展できない。国が危機に直面している時期であるほど、国の元老の知恵や洞察がさらに求められる。

鄭星姬(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com