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若者失業問題の解決策を欧州先進諸国から学ぶ

若者失業問題の解決策を欧州先進諸国から学ぶ

Posted April. 03, 2010 03:31,   

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先月22日、ドイツ・フランクフルト市内のスイス系保険会社である「ナショナル・スイス」。いまだ幼さが残っている二コル・フランクジャク氏(21、女)は記者と握手を交わしながら、堂々と、「名刺は2年後に手渡す」と話した。昨年9月から、同社の見習い職員として働いている彼女は、正社員ではなく、学生と見習生を行き来する身分であり、名刺がない。しかし、「後で名刺を渡す」という彼女の約束は、見習生全員を正社員として採用してきた同社の方針を考慮すれば、異変のない限り守られるだろう。

このようなドイツの見習生制度は、グローバル経済危機の中でも、ドイツ若者の雇用率を引き上げ、「雇用革命」の下支えとなっている。グローバル金融危機前の06年と07年はそれぞれ44.0%と45.9%だったドイツの若者雇用率は、08年は47.2と、むしろ上昇した。

世界各国が失業問題の解決策作りのため、頭を悩ませているなか、若者層の雇用拡大は、失業政策の中でも最優先課題となっている。韓国の15歳から24歳にかけての青年雇用率は、08年基準で23.8%と、経済協力開発機構(OECD)平均(43.7%)の半分ぐらいだ。若者失業の深刻性にいち早く気づき、企業や地域の特性に適した適合型解決策を導入したヨーロッパ先進諸国の事例は、同様の問題で悩んでいる韓国には、すばらしい参考書となりかねない。

●ドイツとスイスの見習生制度

フランクジャク氏は3年間の見習生過程のうち、毎年1月と5月には、2ヶ月間ずつ、職業学校に戻り、会計や行政などの理論を勉強し、残りはナショナルスイスで実務を身につけてきた。学校にいる時間より企業で仕事を学ぶ時間のほうが一際多い。

フランクジャク氏は、「昨年にギムナジウム(Gymanasium=大学進学を目標とする中等教育過程)を一緒に卒業した友人の大半は、大学に進学したが、私は職業学校を選んだ」とし、「見習生として働くことになれば、早くから職場が確定できる上、金までもうけることができ、満足している」と話した。

見習生らへの会社側の満足度も高い。同社の人事担当者であるケルスティン・トラウトマンさんは、「3年間、業務を身につけた状態で入社した見習生は、大学卒業後に入る職員より競争力の面で優れており、会社でも気に入っている」と語った。

ドイツは、パティシェから銀行員に至るまで、350あまりの職種で見習生制度を運営している。昨年、約204万の企業のうち、49万3000社余りが見習生を受け入れた。米経済週刊誌「ビジネスウィーク」は、米国の青年失業を巡る解決策として同制度を紹介したこともある。

クリスティン・ブリングス・ドイツ連邦職業教育研究所・研究員は、「大学進学を目標にすえている学生らも、見習生を経るほど人気が高い」とし、「見習生制度のおかげで、ドイツは青年失業率を相当下げることができた」と主張した。

スイスも、体系的な職業訓練を通じ、若者雇用を活性化させている代表的な国だ。自動車や機械、電気電子、建築、物流、情報通信、機械運転の専攻のうち、2つの専攻を選ぶように勧めており、職業学校の生徒らは技術だけでなく、職場生活への適応を手助けするためのメンター制を運営している。

スイス・チューリッヒのLfW職業訓練学校のアントン・フーバー校長は、「生徒らに対し、週2回は、自分の専攻と関係のある会社に出向き、実際の業務を接するようにさせ、すでに現場で活動をしている人々と定期的にカウンセリングを行うよう勧めている」と紹介した。

●雇用創出に金をつぎ込む英国

「就職を遮るネックを付箋に書いてください。そして黒板に貼り付けてください」。

先月25日、英ロンドンから汽車で1時間ほど離れている港都市「ブライトン」の職業教育機関である「スキルストレーニングUK」のララ・コリー講師は、若者求職者10人余りを対象に、「動機付け」講義を行っていた。

この講義を受講する若者らは皆、6ヶ月間以上求職活動を行ってきたが、職にありつけなかった。英政府が直接乗り出し、彼らを対象に無料職業教育機会を提供したのである。

英国は、経済危機の最中だった昨年9月、「柔軟なニューディール」という政策をまとめ、18歳から24歳前の若者らが6ヶ月間職を得られなかったら、強制的に適合型職業教育を受けさせた。職業教育を受けなければ、求職手当て(1周=約50ポンド)の支払いが打ち切られるため、若者らは例外なく教育に参加している。教育を受ける若者の80%以上は、52週間の教育が終わる前に職にありつけた。

実際、記者がスキルストレーニングUKを訪問した際、セキュリティ会社「トータルセキュリティサービス」のジェームズ・モリス・マネージャは、現場でインタビューを行い、2人をその場で採用した。

財政難に苦しんでいる英政府だが、青年失業問題の解決に向け、惜しまず政府資金をつぎ込んでいる。10億ポンド規模での未来雇用基金(Future Jobs Fund)を造成し、18歳から24歳までの若者の雇用創出に向け支援を行い、義務教育を終えた16‾17歳の若者らに、職を紹介する「9月の保証」制度などを実施している。

マーティン・ダンフォード・スキルストレーニングUK取締役は、「最近、英政府は前例がないほど、強力かつさまざまな若者向け雇用政策を発表している」とし、「特に若者らに対しては必ず職を提供すると言う意味で、「保証(guarantee)」という言葉まで使っている」と話した。

●適合型雇用を提供するオランダ

先月27日、オランダ・アムステルダムの郊外にある自転車修理店。若者3人が汗水をたらしながら自転車修理技術を学んでいた。彼らは、オランダ政府が職場生活向けの最小限の能力すら備えていない脆弱青年階層対象に行う、「デ・パスフォルム(適合型)プログラム」に参加している若者らである。

まず、1‾2週間、個人ごとの適性や技術、知識を評価し、これを基に、自転車修理や介護、ベビーシーター、警備業務など、18のミニ企業で実習を行う。政府のプログラム管理者は周期的に現場を訪問し、実習生からの苦情の相談に乗る。実習生は現場技術の取得度合いによって、8‾13週後は、実質的職業訓練を伴う勤務をすることになる。

LG経済研究院の李ソウォン責任研究員は、「欧州諸国の現場志向的で個別化された職業訓練プログラムは、長期雇用へと繋がるのに有効だ」とし、「韓国も義務教育を終えた人たちが、就職に向け職業の再教育を受けるシステムを充実化すべきだ」と話した。