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[オピニオン]中国夢

Posted March. 26, 2010 03:01,   

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13世紀後半、中国の宋がモンゴルに敗れてから、鄭思肖は北から下ってきた元が嫌いだと言って、寝転ぶときや座る時などは、宋があった南側へ向き、雅号も「所南」とつけた。詩人であり画家だった彼は、蘭を描く時に土を描かなかった。「土地を夷が奪っていった」という理由からだった。彼は、「徳佑二年歳旦」と題された詩の中で、「一心で中原を取り戻したい夢がある(一心中国夢)」というくだりを残した。

◆08年3月18日、中国の温家宝首相は、中国と台湾の両岸問題をたずねた台湾記者からの質問に対し、「一心中国夢」と答えた。「本気で中国を統一し、強国にしたい」という意味だ。今年初め、中国国防大の劉明福教授が出版した本「中国夢」が中国で話題となっている。国内総生産(GDP)で日本を抜きG2(主要2カ国)に浮上した中国が覇権国家になる方法について記述した本だ。頳小平は、「中国は能を隠して時を待たなければならない」という「韜光養晦」を説いたが、劉明福教授はついにその時がやってきたと判断したようだ。

◆米ソが対立していた冷戦時代を説明した勢力均衡論がある。両国は地球を滅ぼせるほどの多くの核兵器を保有して相手の攻撃に備えた。相手が撃てばこちらも撃つという「共滅」の構図を作り、自分側を攻撃できなくすることにより「恐怖によるバランス(Balance of Horror)」をとっていた。この理論は、ソ連とワルシャワ条約機構が崩壊することで力を失った。代わりに、いつバランスが崩れ、新しい強者が登場するかを取り扱った「勢力転移論」が注目を集めた。

◆劉明福教授は、「中国は米国に対し『ノー』と言いたがる」と強調した。1989年、日本の石原慎太郎氏(現東京知事)も「ノーと言える日本」を声高に主張して政治的に成長した。劉明福教授は米中が正面対決せず、それぞれ自分のコースを進みながら順位だけ争おうと提案する。「勢力転移論」によると、このようなやり方では2位国は覇権国にはなり得ない。覇権国は、軍事力はもちろん、文化力や奉仕力など全ての分野でずば抜けて優位を占めなければならない。モンゴルに打ち勝てない現実で、鄭思肖は「中国夢」を夢見た。劉明福教授も現実がもどかしくて、夢を見ているのではないだろうか。

李政勳(イ・ジョンフン)論説委員 hoon@donga.com