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[オピニオン]前向きな報道と否定的な報道

[オピニオン]前向きな報道と否定的な報道

Posted March. 05, 2010 09:56,   

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政治家や高官らがメディア報道に気を使うのは当然だ。報道内容によって人気が上がったり、よいイメージを得ることができる一方で、公職の命に致命的な打撃を受けることもありうるからだ。そのため、報道に接する公職者らの態度には、利己的な側面がある。前向きな報道には感謝するかと思えば、否定的な報道が出ると、メディアに対し一変して敵対視する態度をとる。事実であったり、事実に近い報道なのだが、自分が生き残るため、メディアを対象に名誉毀損の告訴や損害賠償の訴訟を乱発する傾向がある。

◆ソウル南部地方裁判所・民事単独の宋明浩(ソン・ミョンホ)裁判官は昨日、このような公職風土に警鐘を鳴らした。宋判事の判決は、言論を巡る現象を深く見つめた結果だという評価を受けている。宋判事は、「公職者が肯定的な報道が出たときには恩恵を享受し、否定的な報道が出た場合には直ちに刑事告訴や民事訴訟を通し、メディアに対してプレッシャーをかけるなら、メディアの機能を萎縮させ、結局は民主主義の後退現象が現れるだろう」と指摘した。実力者や有名政治家の場合はその様な現象がさらに深刻な方である。今回の判決で敗訴した民主党のP議員は、かつては政府のさまざまな要職を経験し、現在も重鎮として活動している。

◆P議員が訴訟を起こした相手は08年、「P議員は私学財団から3000万ウォンを受け取った容疑が掛けられている」という検察の捜査内容を報道した地方テレビ局だ。P議員は、虚偽事実の報道により、自分の名誉が傷つけられたとし、1億ウォンの損害賠償を請求した。判決趣旨は2つに要約される。報道内容は公益のためのものであり、メディアが真実だと信じるだけの理由があれば、名誉毀損罪は成立せず、公職者の名誉は、仕事をした結果によって国民から認められるものであり、本人が乗り出して、守らなければならない価値ではないという。

◆米法廷では、公職者の名誉毀損について、「現実的悪意」の概念が適用されて久しい。米連邦最高裁が1960年のニューヨークタイムズのサリバン事件を巡り、「相手がメディアの現実的悪意を証明できない限り、名誉毀損として処罰することはできない」という有名な判例を残してから、確立された基準だ。先月の1審で無罪判決を受けたMBCの「PD手帳」を巡る名誉毀損事件には借用しがたい概念だ。すでに、民事訴訟の過程で政府を揺さぶろうとする「現実的悪意」が立証されたと見受けられるからだ。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員sooya@donga.com