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ソフト市場でワンマン開発者が浮上

Posted February. 09, 2010 09:21,   

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「電車の中で居眠りする自分を、誰かが起こしてくれたら…」

昨年夏、電車の中で居眠りをしていた李ミンソクさん(27)は、降りなければならない駅をしばしば乗り過ごしてしまった。学校の試験期間で、睡眠不足だった。移動する間は少しでも寝られるよう、自分を起こしてくれる何かが必要だった。李さんは、自分でプログラムを作成することにした。テストのため、首都圏の500あまりの地下鉄の駅を行き来しながら、位置情報を把握した。3ヵ月後、「電車内で目覚まし」というスマートフォン向けプログラムを開発した。李さんのプログラムは昨年末、SKテレコムの第1回「モバイル・アプリケーション公募展」でトップに選ばれた。電車の中で思い付いたアイデアで、1月末現在、3900万ウォンを売り上げている。開発者一人で、収益を生み出す「1人企業」となったわけだ。

会社員のユ・ジェヒョンさんは、小さい娘のおもちゃに頭を悩ませていた。娘に新しいおもちゃを買ってあげても、すぐに飽きてしまう。そうするうちに、携帯電話さえあれば、娘が新たな遊びで楽しめるアプリケーション作りを始めた。ユさんは、娘のために自分が作った「ベビーフォン」コンテンツで、5000万ウォン以上を売り上げている。

●ワンマン企業の再発見

静まり返っていたソフトウェア(ソフト)市場で最近、1人開発者らが浮上している。このような1人開発者の活躍ぶりは、韓国のソフト市場では、新たな時代の幕開けとして受け止められている。韓国の情報技術(IT)産業はこれまで、規模は大きいが頭脳は割合小さな「恐竜」に例えられてきた。半導体や携帯電話、デジタルテレビなどのハードウェアは、世界トップの商品は数え切れないほど大幅な成長を遂げたものの、「頭脳」ともいえるソフト産業は、異常なほど小さかったためだ。

しかし、それも近いうちに、昔話になるとみられる。今年に入り、三星(サムスン)電子やLG電子のような大手企業から、物置に閉じこもりがちの「1人のコンピュータ天才」らに至るまで我が先にと、ソフト産業に参入しているためだ。これまで、世界市場の僻地といわれていた韓国ソフト産業による巻き返しが、静かに始まっている。

ソフト産業での新たな幕開けは、市場規模からも見て取ることができる。韓国のソフト市場の規模は、世界的な金融危機の中でも、この2年間、成長を続けている。情報通信産業振興院によると、07年=163億ドルだった韓国ソフト市場は、09年=186億ドル(試算値)と、2年間で14.1%も増加した。世界的な金融危機を考慮すれば、ずいぶん前向きな数値だ。それに比べ、世界のソフト市場規模は07年=9730億ドルから、09年=1兆89億ドルと、3.7%の伸びに止まった。

ソフト関連の人材市場も復活している。ジョブコリアによると、ソフト人材の公告件数は、昨年1月=1015件から1年後の今年1月=2016件と、2倍近く跳ね上がった。ベビーフォンの開発者、ユ・ジェヒョンさんは、「00年代初頭は、ウェブ関連ソフトが市場をリードしたなら、2010年代は、モバイルソフト関連市場が急成長している」と語った。

●ソフト事業に注目する電子業界

大手企業各社も、ソフト人材の採用に乗り出している。特に、スマートフォンの人気を牛耳るさまざまなコンテンツの開発に向け、こまめに動き回っている。

三星電子の申宗均(シン・ジョンギュン)無線事業部長(社長)は最近、初のアンドロイドフォンを発売する席で、「10年の最大の変化は、ハードのみならず、コンテンツ・アプリケーションなどのソフトも共に強化してこそ、ハードも、うまくやることができるということだ」と強調した。

これに先立ち、LG電子の南饁(ナム・ヨン)副会長も、「非常経営の基調は維持するものの、人材はソフトウェアのエンジニアを中心に、昨年(1000人程度)より多めに採用する計画だ」と明らかにした。特に、LG電子は、昨年新設したスマートフォン事業部の研究開発(R&D)人材を年末まで、携帯電話全体R&D人材の30%へと増やす計画だ。

インターネット関連企業各社の動きも慌しい。ダウムコミュニケーションは先月末、ソフト企業「イーストソフト」と、モバイルなどの新規事業の開発に向け、戦略的提携を結んだ。安哲秀(アン・チョルス)研究所も今年初頭、情報セキュリティ会社から、「総合ソフト企業」への変身を宣言した。安哲秀研究所の金弘善(キム・ホンソン)社長は、「今年はスマートフォンの大衆化やクラウド・コンピューターの普及により、ソフト産業での勢力図が大きく変わることになるだろう」とし、関連新事業の発掘に集中する計画だと明らかにした。

●残された限界

スマートフォンがソフト産業をリードしているが、依然ネックも残っている。例えば、ハナ銀行はスマートフォンやiPhoneで利用できるインターネットバンクを立ち上げているが、金融監督当局からセキュリティの危険性の指摘を受け、二の足を踏んでいる。被害補償責任のある会社と、被害危険を甘受する消費者がいずれも受け入れられるシステムを作ったものの、政府が「セキュリティ問題」について警告を行い、中途半端なサービスに終わる可能性が持ち上がっている。ネット上の書店「アラジン」も最近、スマートフォン向けの決済システムを導入したが、クレジットカード会社各社が金融当局から示されたガイドラインに触れ、セキュリティ問題を掲げながら決済サービスを拒んでいる。



achim@donga.com sanhkim@donga.com