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[オピニオン]トウモロコシの飯

Posted February. 03, 2010 08:44,   

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1989年11月、東西ドイツのベルリンの壁が崩壊した日、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記とキューバの独裁者カストロが、平壌(ピョンヤン)で緊急会談を行った。事態の深刻さに対しては同じ意見だったが、対処法は違った。金総書記は、「軍隊を強化し、人民の思想武装を堅固にすれば、体制を維持できる」と言った。カストロは、「社会主義経済の失敗を人民に正直に認めて、市場経済を導入する改革を断行しなければならない」と主張した。両者は20年後に再び会って、勝負をつけることにした。08年、金総書記はキューバのカストロを訪れ、敗北を認めなければならなかった。

◆この話は、『金正日とカストロが経済危機を迎えた時』(著者=申錫昊東亜日報記者・北朝鮮学博士)に出てくるフィクションだ。著者は、北朝鮮とキューバを数回訪問取材した事実をもとに、両国の経済回復の努力を比較分析した。キューバは1959年、カストロの共産革命で親米政権が崩壊した後、50年間、米国の経済制裁を受けた。しかし、90年代以降、ベネズエラ、中国などの支援を受け、経済危機の克服に邁進している。90年代半ばの「苦難の行軍」以降、食糧問題に苦しむ北朝鮮とは事情が違う。

◆94年、カストロはヨーロッパの雑誌とのインタビューで、このように話した。「私は、地獄に落ちて、マルクスやエンゲルス、レーニンに会うことになるだろう。地獄で受ける苦しみは、実現できない理想を待ち続けた苦痛に比べれば何でもない」。カストロは、「パン」を求めてさ迷う米国行きの難民の行列についても、「貧しい人民が裕福な国に行くのは自然なことだ」と言って世界を驚かせた。革命35周年、カストロが67才の時の話だ。

◆金総書記は最近、「人民がまだトウモロコシの飯を食べていることに最も胸が痛む」と語ったと、労働新聞が伝えた。まだ正直ではない。トウモロコシの飯でも腹いっぱいに食べれば、飢えて死ぬ人民はいなかっただろう。金総書記は、「いま私がすべきことは、人民に白いコメの飯を食べさせ、小麦粉のパンと麺を腹いっぱいに食べさせることだ」とも述べた。現在67才の金総書記が、カストロほどでなくても人民のことを考えるなら、北朝鮮で飢える住民はいなくなるだろう。

陸貞洙(ユク・ジョンス)論説委員sooya@donga.com