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[社説]定年延長や賃金ピーク制で経験の競争力を活かすべきだ

[社説]定年延長や賃金ピーク制で経験の競争力を活かすべきだ

Posted January. 14, 2010 09:06,   

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国内最大手公企業である韓国電力は今年から、従業員の定年を現在の58歳から60歳に、2年間延長することを決めた。賃金ピーク制を適用し、一定の年齢が過ぎれば、賃金は下がるものの、その代わり、定年を引き上げるのである。定年退職者の退職時期を遅らせ、一度に大量退職する場合に起こりかねない社会的衝撃を緩和すべきだという趣旨から見れば、正しいことである。社会が必要とする能力や経験を持っている人材を退場させず、適材適所でうまく活用さえすれば、国家競争力の強化にも大きく役立つだろう。

韓国戦争以後の1955〜1963年生まれのベビーブーム世代が、本格的な退職時期を迎えている。実際の賃金労働者の平均退職時期は50代半ばであり、これらの世代のうち相当数はすでに退職が始まっている。約712万人と試算されるベビーブーム世代が、短時間で同時退職すれば、生産現場や社会のいたるところで、少なくない混乱を招きかねない。

医療技術の発達により、平均寿命が大幅に延長され、50代半ばで退職すれば、経済的活動をせずに過ごす期間は、20年以上と長くなる。決まった収入が打ち切られた退職者らが強いられる経済的苦痛は、一個人としては耐え難い。さらに、国民年金の支給開始年齢に達する前に退職する場合、年金の恩恵にあずかることができず、経済的苦痛はさらにひどくならざるを得ない。13年からは、年金支給開始時期が5年ごとに1年ずつ引き上げられるようになっている。退職時期と国民年金の支給開始時期をあわせるためにも、定年調整は欠かせない。

韓国より先に、ベビーブーム世代の退職を経験した日本は、13年から全ての企業が段階的に定年を65歳に延長するよう、関係法律を改正し、06年から実施している。我が政府も、「雇用上の年齢差別禁止や高齢者雇用促進法」で、定年を60歳と定めているが、強制力はない。

通貨危機後、中国企業各社は我が企業から早期に退職した技術者らをスカウトし、熟練技術の伝授を受け、高成長の基盤を整えている。企業各社は長期間、企業で実務経験を積んだ退職者らを、一概に退職させず、さまざまな角度で活用する案を講じなければならない。韓国電力は、アラブ首長国連邦(UAE)をはじめ、海外での原発建設や運営に必要な人材確保に向け、専門技術人材の定年延長は不可欠という側面もあるだろう。

ただ、全ての公企業が韓国電力のように、定年を58歳から60歳に引き上げれば、就職市場が大幅に萎縮しかねない。若者らの就職はさらに厳しくなるだろう。KAISTや蔚山(ウルサン)科学技術大学が、学問的業績の優れた教授に限り、定年を65歳から70歳に延長したことを参考にする必要がある。ほかの公企業も、専門的技術人材から順次定年を延長することで、若者失業を悪化させてはならないだろう。