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[社説]軍統帥権者は安保に不安はないか

[社説]軍統帥権者は安保に不安はないか

Posted October. 29, 2009 08:54,   

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1人の民間人が、東部前線の有刺鉄線を切り取って北朝鮮に渡った事件は、我が軍の警戒態勢がどのような状況にあるのかを浮き彫りにしてくれる。前方観測所(GOP)の3重の有刺鉄線を突破して軍事境界線(MDL)を越えたのに、軍は北朝鮮の朝鮮中央放送を聞いてやっとその事実に気付いた。北朝鮮は、「カン・ドンリムさんが前方勤務中、共和国の北半部に憧れ、義挙(越北)しようとしたものの、なかなか機会に恵まれず、今回、念願が叶って、喜びを禁じえずにいる」とし、我が軍の生ぬるい警戒態勢をあざ笑った。

一つの穴が大きな堤防を崩壊させ、一つの輪が丈夫な鎖を切るように、一線の哨兵の勤務怠慢が、国の安保を決定的な危険に落とし入れかねない。葉っぱを見て木が分かるように、哨兵を見て軍と安保体制が分かる。1968年1月、軍事境界線の鉄柵を突破して韓国に渡ってきた北朝鮮特殊部隊31人の大統領府襲撃未遂事件(1・21事態)と、同年10月、武装共産軍120人の蔚珍三陟(ウルジン・サムチョク)地区海岸線侵入や良民23人の虐殺事件も代表的な警戒の失敗例だ。今回の事件も「作戦に失敗した指揮官は許せても、警戒に失敗した指揮官は許せない」という教訓を改めて思い起こさせてくれる。22師団が越北者の軍服務地域だったので、鉄柵が簡単に切れたようだという軍当局の説明は、くだらない言い訳に過ぎない。穴ができるたびに、軍の言い訳を聞くのも飽きたし、憤りを感じる。

GOPの警戒活動に先端の装備や高度の技術が必要なわけではない。銃器や手榴弾、夜視鏡のような装備を持って勤務守則さえ守れば、今回のような事件は防ぐことができる。軍が北朝鮮のファンガンダムの放流で臨津江(イムジンガン)の水位が高くなったのを見ても、適時に知らせなかったため、6人の民間人が溺死し、11人の北朝鮮住民が乗った帰順船舶が東海岸に接近したことをレーダーで観測しても、確認を急がなかったのがつい先日のことだ。

服務期間の短縮により、GOP経験のある将兵が大きく減ったという心配も出ている。また、将校と下士官・兵士を問わず、6ヵ月〜1年で大体GOP勤務を交代する。根本的な対策が求められる。鉄柵を100%完璧に守るのは不可能だと、鉄柵勤務経験者は吐露するが、事件発生後、鉄柵が横30センチ、縦40センチ切られた現場を即時に発見できなかったのは、弁明の余地がない。軍統帥権者の李明博(イ・ミョンバク)大統領が我が国の安保に不安でないのか聞きたい。