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[オピニオン]「避馬道」の保存

Posted October. 20, 2009 09:41,   

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欧州の有名な都市は、大半がオールド・シティとニュー・シティに二元化されている。観光客が特に魅力を感じる場所は、昔の姿と歴史が佇むオールド・シティの路地だ。観光客は、ここでタイムマシンに乗って過去に戻ったような錯覚を感じる。ソウルは600年の歴史の古都だが、過去の姿が残っている場所は、故宮や南大門(ナムデムン)、東大門(トンデムン)、博物館や韓国式家屋村などがすべてだ。ソウルは、戦争や急激な産業化、都市化で、過去の趣を失った。南山(ナムサン)から見下ろせば、漢江(ハンガン)の両サイドにマンションが立ち並んだ単調な姿が目に映る。

◆ソウル鍾路(チョンノ)1街から4街までの大通り沿いの建物の裏を東西に結ぶ狭い路地は、朝鮮時代から「避馬道(ピマッコル)」と呼ばれた。馬やかごに乗って鍾路を通る両班(ヤンバン)を避けて民衆が歩いた道という意味だ。避馬道には、行商人や庶民が空腹を満たし、喉を潤すのに適当なクッパ店や居酒屋が立ち並んでいた。今の避馬道は、韓国戦争後に新たに造成されたものだ。年配の世代は、1日の仕事を終えて避馬道で友人と会い、炭火で焼いた魚やビンデトク(緑豆チヂミ)、パジョン(チヂミ)を肴に酒を飲んだ思い出を想起する人が多いだろう。

◆00年代初めから、鍾路一帯が本格的に再開発され、庶民の哀歓が宿った避馬道がなくなることを多くの人が惜しんだ。鍾路1街のルメイエル鍾路タウン1階のホンサル門にかかっている「避馬道」という木の看板は、その残念さを表わしている。再開発の建物に新たなくつろぎの場をつくった避馬道の飲食店もかなりあるが、過去の趣や歳月の味を感じることは難しくなった。高い賃借料のために値段は上がり、洗練された店内の装飾からは、以前の安楽なムードは感じられない。

◆ソウル市が、再開発に押されて消えつつある避馬道を本来の姿で保存することを決めた。路地の古い電信柱をなくして電線を地下に移し、煩雑な看板を整備して、最大限、昔の趣を出すという。遅ればせながらの感はあるが、伝統と個性を無視した無条件の再開発に対する批判を受け入れたことは幸いだ。まだ再開発されていない区域でも、避馬道の伝統を生かせばいいだろう。避馬道の通りと食べ物に関するストーリー・テーリングは、誇らしい文化観光の資源になり得る。

権順澤(クォン・スンテク)論説委員maypole@donga.com