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[オピニオン]人口教育

Posted September. 19, 2009 08:21,   

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映画「豊かに暮らそう」(06年)の中で、産児管理要員と扮した金ジョンウンは、出生率99%を誇る農村のある村に派遣され、毎晩、家から家へと尋ねまわりながら、「それでは困ります」と、住民らの「夜の営み」を邪魔する。セマウル運動(1970年代から始まった汎国民的地域社会開発運動)が盛んに行われた朴正熙(バク・ジョンヒ)政権時代を背景に、それ以上子供を生まないように説得する啓蒙女性と、「農業のうち子供を作る農業が最高」という考え方を持つ住民との対立を、面白おかしく描いた映画だ。強力な産児制限政策を覚えている中高年世代は、映画をみながらおぼろげな思い出を浮かべただろう。

◆産児制限のためのスローガンは、独裁時代という状況とあいまったためではあるが、今聞いてみても殺伐である。1970年代や80年代に、汽車の駅やバス・ターミナルには漏らさず、人口の時計塔があった。数秒ごとに増えつつある人口を示す電光板は、子供を生むことに国民が罪悪感を持つように仕向けた。「一人だけ生んでも国土は超満員」というスローガンは、増しなほうである。今も多くの人々が覚えているスローガンのなかには、「やたらに生むと、貧乏から脱せない」(1963年)もあった。貧しい時代だったために、多出産を貧困と同様にみなす戦略は功を奏した。

◆所得水準が高まり、子供2人が一般化した1980年代は、「一人子持ち」や「女の子と男の子を差別しない」が人口政策の目標だった。「よく育てた一人娘、10人の男の子に勝る」(1980年)、「二人も多い。一人だけ生んで上手に切り盛り」(1982年)は、80年代に出た家族計画のスローガンだった。1990年までも、「母親の健康は子供の健康、少な目に生んでよく育てよう」というスローガンがあったが、産児制限の熱気は下火となった。1994年、政府は産児制限政策の放棄を宣言した後、1998年、家族計画協会も産児制限のための人口教育を中止した。

◆少子化問題が国家レベルの災難になるほど深刻になり、中止された人口教育が再び登場する模様だ。今回は、少なめに生むのではなく多めに生もうという内容であり、隔世の感がある。与党ハンナラ党の元喜睦(ウォン・ヒモク)議員が提出する人口教育支援法案には、結婚や出産の価値、家族の大切さを学校や軍隊で教える内容が盛り込まれている。人口教育も重要だが、期待と現実とのギャップを埋め合わせる現実的な政策が伴われるべきだ。調査によると、わが国の女性らが期待する子供の数は2.3人、でも実際生む子供の数は1.19人だ。生みたくても生めないのである。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com