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北朝鮮住民の「当局の統制」との戦い

Posted September. 16, 2009 04:58,   

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北朝鮮のある地方都市に住む30歳代半ばの主婦、李ソンヒさん(仮名)は、17日で終わる「150日間の戦闘」を振り返ってみると、鬱憤が禁じえない。150日間、国の経済が良くなったと実感できるものは何もなかった。しかし、代わりに戦闘をするという名分で彼女は普段より数倍の統制に苦しめられなければならなかった。

李さんが150日間の戦闘期間の中で経験したことの中で一番呆気にとられ、頭に来た出来事は、当局がマンションのベランダの窓を強制的に外すようにしたことだ。わずか2年前に、幹部らはベランダに窓を付けることを指示し、それを実施する理由として、部屋の温度が4度上がり、埃も入ってこないので、綺麗になると宣伝した。李さんも20万ウォン(約52ドル)を払って窓を付けた。李さんの家族の1ヵ月半の生活費に当る、けっして安くはない金額だった。ベランダのカーテンもマンションの住民たちで共同購買した。ところが、2年も経っていない今、幹部らはいつそんなことがあったのかといわんばかりに、今度は窓を外すようにと注文を付けた。「どうしてなのか」と抗議もしたが、都市の美化のためという短い答えしか返ってこなかった。李さんが住むマンションには思い切って100ドルもするアルミニウムの窓を付けた人も居る。窓を付けたベランダの内部にタイルを貼り付けた世帯も多いが、これも再び石灰を塗って元通りにしなければならない。このようなハプニングは、全国都市で一斉に起こった。思いもよらずに巨額の損をした人々にとっては不満が大きかった。

これが終わりではなかった。窓を外したベランダに鉢植えを5本ずつ置いておくようにという指示がまた来た。午前6時になると、必ず人民班長が外で「掃除してください」と叫んでいたが、今は町役場の事務所長まで出てきて拡声器で「鉢植えを置いておいてください」と叫ぶ。北朝鮮では花の代わりにサボテンをよく育てる。李さんはサボテンに造花を縛り付けたベランダに置く。風が吹くと、鉢植えが落ちる場合も多い。

李さんは在日本朝鮮人総連合会の機関紙、朝鮮新報に14日、「今後、数年内に全国の都市と村が新しく整えられ、国の面貌が大きく変わる」という内容の記事が載ったのを知る由もない。これをめぐって、韓国のマスコミが北朝鮮に「セマウル運動」のようなブームが起きていると分析したのも勿論知る術がない。彼女は2年の間、ベランダの窓を「付けろ」だの「外せ」だのと気紛れを起す幹部がただ恨めしいだけだった。

150日の戦闘期間中には各種の労力動員も増え、支援品の名目で家ごとに取り立てていくものも倍増した。それだけではない。数々の名前の取り締まり班が随時にマンションを訪問してくる。ドアを開けると、「若い女がどうして動員に行かなかったのか」という文句から始め、何かにつけ口実をつけて賄賂を受け取っていく。李さんは、ドアを叩く音がすると、家の中で息を殺す。

しかし、李さんは、労働党の思い通りにならないことも多くなっていることを実感している。ベランダ事件だけを見てもそうだ。当初、幹部らは1階の防犯窓まで全て外すことを指示した。しかし、住民が「泥棒に入られる」と強く反発し、集団で拒否したら、なかったことになった。150日戦闘の開始前に市場には売買禁止銘柄が書かれた公告が張り出された。ほとんどの銘柄が取り締まりの対象に上がったが、住民の反発で今も市場で売買できないものはない。7月までは街頭に糾察隊が立ち並んで、ズボンを履いた女性を取り締まり、嫌がらせをした。李さんは、農村の支援に出かける時や自転車に乗る時もスカートを履かなければならなかった。しかし、女性の不満がエスカレートすると、当局は8月からはズボンの着用を許容した。

このような変化の原動力は住民の不満だ。しかし、最高指導層を狙った公開的な不満はほとんどない。摘発されると、家族全員が跡形も残さず消えてしまうためでもあるが、さらに大きな理由は生活が苦しい原因を一部の幹部のせいにする住民の意識水準のためだ。李さんも人前で、「食べていくのも大変なのに、花を出せだのスカートを履くなだの、些細なことで人民を苦しめて、党と人民の仲を悪くしようとする悪いやつらがいる」と話す。これは彼女の本音だ。このような世論を意識したためか、北朝鮮当局は、150日戦闘期間中に相当数の「汚職幹部」を摘発して公開処罰した。

150日戦闘は17日で終了するが、住民の顔の表情は相変わらず暗い。当局が23日から12月31日まで「100日戦闘」に取り組むと宣布したからだ。またどのような「意地悪」が待っているか、北朝鮮の住民は不安でたまらない。



zsh75@donga.com