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[オピニオン]干潟の海岸線

Posted August. 31, 2009 07:33,   

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フランスの数学者、ベノワ・マンデルブロは、1967年、科学学術誌の「サイエンス」に「英国の海岸線の全長はいくらなのか」に関する論文を発表する。彼が海岸線の長さを知らなくてこのような問題を提起したわけではなかった。マンデルブロは、海岸線の長さは1メートルの定規で測った時と1センチの定規で測った時とは大きな違いがあると主張した。グネグネとした海岸線の模様を念入りに観察すれば、その中にまたグネグネとした模様が現れるというプラックタル(practal)理論はこうやって誕生した。

◆わが国の西海岸は、全体の模様と部分の模様が同じように繰り返されるプラックタルパターンの体表的な事例として世界に紹介される。このようにでこぼこで複雑な海岸の地形をリアス式海岸と呼ぶ。ところで、もう地理教科書を書き直さなければならなくなったようだ。国立環境科学院が西海岸の長さが1910年代の平均2148キロメートルから昨年1448キロメートルへ、90年の間に40.27%が縮小したと発表した。長さが短くなっただけでなく、どれほど多くの屈曲があったかを示す屈曲度も1910年代の8.16から4.47へ低くなった。屈曲度が0だと、直線ということになる。

◆西海岸は島が多くて、潮の干満の差が大きくて、干潟が広いため、干拓と埋め立てに良い条件を揃えている。そのような理由で、松島(ソンド)、牙山(アサン)湾、始華(シファ)湖、セマングム干拓事業などが相次いで進められ、海岸線が直線になったところが多い。食料が足りなかった時期にお米の農業を営む土地と水資源を同時に確保できた干拓事業は、経済の牽引車としての役割を果たした。セマングムも今年7月に発表された計画で、農地の比率が全体の70%から30%へ縮小した。今は首都圏一帯の西海岸で新都市建設のための海の埋め立てが活発だ。

◆食べる問題が解決し、暮らしの質の向上への関心が高まっている中、これまで無駄な土地とみなされてきた干潟の価値に対する認識も高くなった。干潟は魚類や貝などの水産資源や、鳥類など数多くの生物種の生息地であり、生態系の宝庫である。また、汚染を浄化し、災害を防止する。さらに、審美的・観光的な価値も再評価されている。英国、オランダやドイツが防潮堤を崩して、開墾地を干潟に再び復元し始めた。世界が羨むわが国の美しい海岸線を保存することに、更なる関心を傾けてもらいたいものだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com