Go to contents

[オピニオン]有銭大罪

Posted August. 05, 2009 07:33,   

한국어

どうして、同じ過ちでも「お金持ちの人」が犯すと、より悪質に見えるのだろうか。米ノースキャロライナ大学のエリースン・プレゲイル教授が実験を行った。社会・経済的地位が高い白人女性とメキシコ移民出身の女性が、同額の所得脱税した場合、「白人女性の罪の方がさらに重い」という反応が圧倒的だった。韓国では「有銭無罪・無銭有罪(金持ちは無罪、貧乏人は有罪)」という俗説があるが、人の心理はその逆であるわけだ。

◆「同じ信号違反やスピードの出し過ぎの際、お金を多く稼ぐ人は罰則金をもっと多く払い、庶民は少なめに支払わせる方法はないか」。李明博(イ・ミョンバク)大統領が先月末、「討論型国務会議」で問題提起した。「毎日、車1台を運転して生活する人」と「お金が多く、よく遊びに行く人」が、同じ罰金を払うのは、問題があるという認識だった。有銭大罪の時代がやってくるのだろうか。

◆行為者の経済事情を考慮し、罰金に差を付け賦課する方法を日数罰金刑制度という。お金持ちでも庶民でも同じ罰金を支払うと、庶民がさらに苦痛を受けるため、犠牲平等の原則にそぐわないという論理から出た。02年、フィンランドのノキアの副社長、アンシ・バンヨキが、バイクハリデービスンに乗り、時速50キロ制限道路でスピード違反し、11万6000ユーロ(現在の為替レートで約2億ウォン)の罰金刑を言い渡された事件は世界的に有名だ。このような差等制は、1921年、フィンランドが初めて導入して以来、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、フランス、ハンガリー、ポルトガルなど欧州諸国で施行されている。

◆反面、日本をはじめ、アジアではなかなか見つからない。英国は1992年、試験的に実施したが廃止し、米国は1988年から一部地域でのみ試験中である。明知(ミョンジ)大学の李ジホン教授は、「日数罰金刑制度に関する考察」という論文で、「行為者の経済的事情の正確な調査に対する国民的な信頼に成敗がかかっている」と指摘した。韓国のように所得把握が不透明な国では、ともすれば司法制度に対する信頼だけを墜落させてしまう懸念が高い」。公平性の原則に反する上、法治主義の根幹を揺るがしかねない。「親庶民」が基礎秩序の錯乱につながり、国家的費用がはるかに嵩張る可能性もある。大統領の「ポピュリズム意識」に対する懸念の声が高まっている。

金順徳(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com