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[オピニオン]ニンビー特別法

Posted July. 09, 2009 07:39,   

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碧蹄(ビョクジェ)火葬場は、京畿道高陽市鄹陽区(キョンギド・ゴヤンシ・ドクヤング)にあるが、ソウル市立の火葬場であり、ソウル市が管理している。1930年代からソウル西大門区弘濟洞(ソデムング・ホンジェドン)にあった火葬場を1970年、山林庁所有の土地である現在の場所に移転した。移転する前までは、周辺地域には住民もほとんどおらず、地方自治も開始前ということもあり、大した問題はなかった。しかし、今は火葬場の1階の床を高め、2階の天井に窓を作り、遺族の控え室を作る工事すら、4ヵ月も引き延ばされている。「私たちの地域に、迷惑な施設作ってほしくない」という、いわゆるニンビー(NIMBY=Not In My Back Yard)現象のためだ。

◆火葬場や納骨堂、ごみ処理場や放射性廃棄物処理場などは、我が社会においてなくてはならない施設である。しかし、ニンビー現象のため、高い見返りを支払わされるのが日常となっている。地域発展のため、京畿道の広域火葬施設を誘致しようとした河南(ハナム)市長は、住民召還制の対象に追い込まれ、市場の職を失う羽目になった。政府が1986年から候補地を探している放射性廃棄物処理場も、ニンビー現象のため、1990年の安眠島(アンミョンド)事態や03年の扶安(フアン)事態を経たあと、21年ぶりに07年、慶州市(キョンジュシ)にようやく建設することができた。もちろん、特別支援金という名目で3000億ウォンが慶州市に支援された。

◆ニンビーという言葉は1980年代末、英国のニコラス・リドレー環境長官が初めて使った。この言葉が世界的に使われていることから見て、どの国であれ、ある程度は現れている現象だ。しかし、国家安保のために必要な軍事施設、社会的な弱者のための障害者学校すら、住宅価格の下落などを理由に反対するのは、社会的な共感を得ることはできない。にもかかわらず、被害住民らに対する一定の補償や恩恵無しでは、解決できないのが現状である。

◆京畿道が地方自治体同士のニンビーに起因する対立を解消するため、特別法の素案を作った。これは、問題を法律に基づき、解決しようという趣旨からである。素案には、被害実態調査や補償のための共同委員会の設置、住民支援基金の運営などが盛り込まれている。忌避施設による該当住民らの苦痛に対し、恩恵者らの負担を増やしてでも、補償を行う方法はやむなきことである。しかし、「憲法の上に『群れを成し、エゴを主張する法』が存在する」といわれている国で、特別法を作ったからといって、ニンビーを巡る対立が解消できるかはなはだ疑問である。

クォン・スンテク論説委員 maypole@donga.com