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[社説]「平準化への逆行だ」政府は孫炳斗学長の苦言に耳を傾けるべきだ

[社説]「平準化への逆行だ」政府は孫炳斗学長の苦言に耳を傾けるべきだ

Posted June. 27, 2009 08:23,   

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今月末、西江(ソガン)大学学長と韓国大学教育協議会(大教協)会長の職から退く孫炳斗(ソン・ビョンドゥ)氏が、政府の教育政策に反対する意見を示した。孫氏は新聞とのインタビューで、「自律と競争を強調していた政府の教育政策が規制と統制へ逆走行している」と批判した。全国経済人連合会の常勤副会長を務めた企業家出身として大学学長を経験した孫氏の発言は、最近、李明博(イ・ミョンバク)政府の教育政策の基調が急転換している中で出たものという点で注目される。

昨日、ハンナラ党のシンクタンク、汝矣島(ヨイド)研究所の主催で開かれた「私的教育との戦争、どうやって乗り切れるか」という討論会は、郭承俊(クァク・スンジュン)大統領直属未来企画委員長と鄭斗彦(チョン・ドゥオン)ハンナラ党議員がまとめた「私的教育対策案」が発表された。受験生の負担を減らすため、12年度の入試から高校1年生の内申を入試に反映しないという案が提示された。一時、白紙化された深夜の学習塾教習の禁止措置も再びまな板に載せられた。李明博大統領がこのような私的教育の対策に同調を示しているため、そのまま採択される可能性が高い。

しかし、この案は孫学長の指摘どおり、自律の逆行であり深刻な副作用が予想される。高校1年の内申反映禁止は、生徒が学校の授業は疎かにしたまま、修学能力試験(日本のセンター試験に該当)の準備にのみ没頭するようにさせかねない。深夜の学習塾教習の禁止は陰性的な私的教育を煽り立てる恐れもある。常に、政府対策の隙間を巧妙に潜り抜けるのが私的教育市場の特徴だ。

政府は来年導入される自律型私立高の入試方式を無作為の抽選で決定することにした。生徒選抜権がない「中途半端」な自律学校だ。「大学入試自律化の元年」だとし、昨年、大教協へ委譲した大学入試業務にも政府が露骨的に口出ししてきた。前の大統領選挙で、「教育の自律と競争を拡大し、人材大国をめざす」と言った公約は姿を消し、急速に規制と規律へ向かっているのだ。大教協会長として入試業務を委譲してもらった孫学長は、「政府が大教協に自律を与えたと言いながら、『3不(本考試、高校等級制、寄与入学制の禁止)を維持するように』と要求する」とし、「こういうことを自律と言えるのか」と問い返した。政府が大学に強力に注目している入学査定官制については「入試の多様化のための手段の一つに過ぎないのに、大袈裟に包装されており、潜在力も良いだろうが、基本的に修学能力を見て学生を選抜しなければならない」と指摘し、段階的な実施を要求した。

政府が矢継ぎ早に打ち出している教育政策は、前の政権の時よりももっと統制と平準化へ移動した気がする。教育政策で私的教育費の軽減だけを目標に、目の前の対症療法にのみこだわる限り、更なる失敗が懸念される。「教員評価・学校評価を通じた公教育強化で病の根源を治療すべきであって、的外れの処方は副作用をもたらすばかりだ」という孫が学長の言葉に政府は耳を傾けるべきである。