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「技術力の中小企業が見えてきた」元銀行幹部が語る金融支援の現場

「技術力の中小企業が見えてきた」元銀行幹部が語る金融支援の現場

Posted May. 05, 2009 06:15,   

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「銀行員の肩書きを外し、企業の現場を走り回ってみると、難しいが、技術力のある中小企業への支援を行い、銀行や企業、地域経済を共に再生できる道が見えてくる。銀行で支店長として働いていた時代、業績へのプレッシャーで、優良な中小企業のみに支援を行った自分が恥ずかしい」

先月27日、仁川南洞区(インチョン・ナムドング)の「金融監督院の中小企業現場金融支援チーム」で会ったチェ・チョルス相談役(58)は、「銀行に勤めていた時との一番大きな違いは何か」という質問にこのように答えた。

金監院は2月、全国6つの産業工業団地に中小企業・現場金融支援チームを立ち上げ、各支援チームに退職した銀行支店長経験者2人を採用した。

南洞工業団地・現場金融支援チームでは、企業(キオブ)銀行で西始華(ソシファ)支店長を務めたソン・ソクグン(56)、ウリィ銀行・南洞工業団地支店長出身のチェ相談役が勤務している。中小企業が金融機関と取引しながら直面する問題について相談を行うのが、彼らの役割である。

●見向きもされなかった技術力のある零細企業

南洞工業団地には技術力はあるものの、数千万ウォンの資金がなく、岐路に立たされている零細企業は少なくない。二人の相談役は、銀行で勤務していた時、見向きもせず、今も各銀行が「業績にならない」と、顔を背けている会社だ。

昨年の売上が1億ウォンだったある機械設備製造会社の朴某社長(46)は、銀行から追加融資を受けることができず、相談を申し込んだ。朴社長は数年前、時価2億5000万ウォンの工場を担保に1億5000万ウォンを借り入れ、その半分を返済した。

景気が厳しくなり、7000万ウォンの追加融資が必要となり、銀行の扉をたたいたが、「融資は難しい」という返答だった。エンジニア出身の朴社長は、同社が注文・製作できる複数の機械写真を示した。分厚いアルバム一冊分だった。

チェ相談役は、「担保が十分である上、すでに融資の一部を返済しているにも関わらず、追加融資は難しいという銀行の態度は理解に苦しむ」と語った。チェ相談役も支店長時代は同様に、零細企業への融資にはなかなか首を縦に振らなかった。零細企業10社を対象に営業を行うより、優良企業1社を顧客として確保した方が、よりよいと考えたからだ。

しかし、退職後、金監院・現場金融支援チームで、零細企業に対する情報や経験が蓄積され、考え方が変った。

チェ相談役は、「優良企業は、銀行同士の競争が激しく、顧客として確保するのが難しい」とし、「技術力を備えている小企業を発掘し育成するのが、かえって未来の収益源になりうる」と語った。銀行はチェ氏の主張を受け入れ、朴社長への追加融資を行うことを決めた。

●「経済危機には、銀行の公共性を強化すべき」

30年間、銀行員として勤務したおかげで、二人の相談役は中小企業経営者の悩みを聞けば、銀行が過度に収益に拘っているのか、それとも会社の経営に問題があるのか、一目で見分けることができる。

同日、支援チームを訪れたある鉄鋼機会製造会社のコ某社長(49)は、「銀行から担保が足りないことを理由に、瑕疵保証書を発行してもらえず、受注の残金を受け取ることができない」と話した。同社は南洞工業団地の周辺に土地を所持しているが、産業工業団地外に位置しているため公示地価が低い。

その上、全て銀行に担保となっているのが現状。話を聞いたチェ相談役は該当銀行に電話をかけ、「この土地は時価に換算すれば、相当な価格になるので、再度保証書の発行を検討してほしい」と依頼した。チェ相談役は、「支店長の専決だけで、このくらいの融通は可能であるはずなのに、銀行は余りにも原則だけ守ろうとしているような気がする」と語った。

最近、政府は銀行圏に対し、不安定な低所得層や中小企業への融資を増やすように指示したが、金融圏では「このまま行けば、銀行の健全性が脅かされかねない」と懸念する声も出ている。

これに対し、相談役は「銀行は公的な性格を帯びている民間企業だが、経済危機の場合には銀行が公共性を強化しなければ、社会全体が厳しくなる」とし、「銀行員らは書類中心の機械的な貸付審査から抜け出し、訪問相談を行うなど、時間を割けば、有望な零細企業を発掘することができ、銀行と企業が共に成功することができる」と語った。



chance@donga.com