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[オピニオン]科学の解放?

Posted March. 11, 2009 08:37,   

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「ハレルヤ!長い抑圧の時代は幕を閉じた」。9日、米科学者らは万歳を叫んだ。バラク・オバマ大統領が、科学界の長い念願だった幹細胞の研究に対し、政府の財政支援の制限を撤廃する行政命令に署名したためだ。この措置を受け、国立保健院(NIH)を中心に、天文学的な規模の研究資金が、肝細胞研究分野へと流れるものとみられる。

◆オバマ大統領は署名式典で、「政府の科学的な決定は、政治やイデオロギーの影響を受けてはならない」と語った。「地球が太陽を回る」ことを語れない時代でもないのに、科学が政治に足を引っ張られてでもいたというのだろうか。オバマの発言が共和党ブッシュ政権を狙ったことからも分かることだが、少なくともブッシュ政権の8年間はそうだった。イラク戦争のきっかけとなった大量破壊兵器だけ見ても、結局存在しないことが分かった。にもかかわらず、ブッシュ前大統領は存在する「科学的な証拠」があると主張した。同氏が語った「科学的」は実は「政治的」ではなかっただろうか。

◆そんなブッシュ前大統領は、地球温暖化についての科学者らの警告には耳も傾けず、京都議定書から脱退した。肝細胞の研究を禁じたことも、科学とは程遠いことだった。ブッシュ前大統領は、「研究目的でES細胞を破壊するのは正しくない」と信じ、これを法制化した。科学的な事実関係よりは、自らのキリスト教的な倫理観に基づいた決定だった。ブッシュ前大統領は、大統領直属の生命倫理委員会のメンバーらを、自分と同じ性向の保守的な人物らへと全員入れ替えてまで、肝細胞の研究禁止を突き通した。

◆オバマ大統領の登場で科学はついに、政治から自由になったのだろうか。肝細胞への規制が緩和されたのは喜ばしいことだが、一般化することはできない。オバマ政権のエネルギー長官で、物理学者でもあるスティーブン・チューは一時、「水不足で20世紀末にはカリフォルニアでは農業を営むことができないだろう」と主張したことがある。今、果たしてそうなのか。ハーバード大学教授出身のジョーン・ホルドラン大統領科学技術補佐官も、かつて「(気候変動による)飢饉のため、20年まで10億人が死亡しかねない」と主張したが、的外れとなった。オバマが、温暖化の危険性や肝細胞の未来を過度に信じる科学者らに取り囲まれ、間違った政治的な判断を下しかねないという指摘が出てくる理由でもある。どうやら、科学は政治から自由ではいられないようだ。

鄭星姫(チョン・ソンヒ)論説委員 shchung@donga.com