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[オピニオン]資本の質

Posted March. 03, 2009 03:35,   

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昨年11月、米超大型銀行、シティグループの株価が、財務構造の悪化への懸念のため、1日で最高26%、一週間で50%も暴落した。これを受け、個人筆頭株主であるサウジアラビアのアルワリード・ビン・タラル王子は、持分を4%から5%へと増やすと発表した。アルワリード王子はインタビューで、「救済金融が再び必要となれば、追加投資するのか」という質問に、「クリームの上のチェリーだ。我々はそれを食べるだろう」と、自信満々で投資の意思を明らかにした。しかし、株価の下落は止まらなかった。

◆先週、米政府が資本不足に陥っているシティグループの優先株を普通株へと転換し、国有化を進めると、アルワリード王子も普通株へと転換を申請した。優先株は議決権のない代わり、配当など財産上の実益レベルで優先的地位が認められる株式。アルワリード王子は、保有した優先株が普通株へと転換されると、これまで享受してきた年間11%の配当は夢となる。また、サウジアラビアにいながら、シティグループ経営陣の表敬訪問を受ける贅沢も諦めなければならない。シティグループの優先株が普通株へと転換されれば、従来の普通株の株主らの持分の比率は、100%から26%へと下がることになる。国有化の発表直後のシティグループの株価暴落は、このような「価値の希釈」が反映された結果だ。

◆シティグループの昨年末の国際決済銀行(BIS)基準の自己資本比率は15.6%と、高い方である。安全な資産が、貸出などの危険資産に比べ、どの程度なのかを表す基本資本比率(Tier1)も、当局の勧告値である9%より高い11.9%となっている。資本量から見れば、世界銀行中の最高レベルだった。しかし、総資本中普通株で調達した資本の比重が激減するなど、資本の質が悪化した。そんな中、不良資産は増える一方、株価が下がったことを受け、資本力が弱まり、投資家らの不安解消に失敗してしまった。

◆従来のさまざまな指標は、資本の質を的確に評価していないという指摘を受け、米財務部は今後、有形自己資本(TCE)を評価基準とする計画だ。配当負担のある優先株を外し、普通株に基づき、価値を評価する方式だ。TCEの基準が決まれば、主要金融会社もそれに併せ、民間資本を大量に誘致しなければならない義務を負うことになる。それがうまくいかなければ公的資金が投入される見通しであり、米金融業界の地殻変動はさらに続きかねない。

洪權熹(ホン・グォンヒ)論説委員 konihong@donga.com