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経済危機の波、韓国のベイビー・ブーム世代を直撃

経済危機の波、韓国のベイビー・ブーム世代を直撃

Posted February. 14, 2009 06:00,   

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A銀行の支店長出身の金さんは1955年生まれ。韓国戦争が終わった後、出生率が急激に上がった時期に生まれた韓国のベイビー・ブーム世代(1955〜1963年生まれ)の第1期目にあたる。

父親は貧しいながらも、3男3女の長男であり全校で1、2等を争った金さんを早めにソウルへ留学させようとした。ソウルの名門中学校の入試で落ち、故郷の全羅南道(チョルラナムド)で中学校を通った金さんは3年後、ソウルの名門高校に合格しソウルで下宿生活を送った。一クラス60人以上もの生徒がいた「缶詰」教室で大学入試を準備した。

名門私立大学の経営学科に「75学番(1975年度に大学に入ったという意味)」で入学。2年生まで終えて軍隊に入った後、社会が民主化の熱気に包まれた1980年に復学した。卒業状をもらった1983年、国内の景気はオイルショックの衝撃から抜け出して回復軌道に乗り、経済成長率は10.8%に達した。おかげでA銀行の他にも複数の企業に受かって有頂天になったりもした。

入行した翌年の1984年。ソウルル陽川区新月洞(ヤンチョング・シンウォルドン)のこじんまりしたマンションで新婚生活を始めた。1988年のソウル五輪を前後にして住宅価格は急騰し、5度の引越しをした後、1995年にはソウル汝矣島(ヨイド)に30坪台のマンションを買うことができた。

「あの時は早期退職なんて考えたことすらなかったですね…」。銀行員を天職と思っていた彼に1997年末の通貨危機は耐えがたいほど大きな衝撃だった。当時、50代になった7〜8年入社が早い先輩のうち、相当数がリストラの波に流されて銀行を去った。

昨年3月、米国5位の投資銀行(IB)ベアー・スターンズが破産したというニュースに、「まさか…」と思いながらも不安感を消すことができなかった。金さんは、「昨年9月にリーマン・ブラザーズが破産した後、銀行の事情が急速に悪化し、11月末から銀行が名誉退職の申し込みを受け付けるという噂を聞いて、『とうとうくるべきものが来たか』という気持ちだった」と打ち明けた。

昨年12月23日、本社の人事チームから一本の電話がかかってきた。34ヵ月分の給料を一度で受け取って名誉退職をするか、賃金ピーク制を選択して定年の60歳まで50%の年俸だけをもらって銀行に残るかの二者択一を迫られた。金さんは名誉退職を選んだ。

元々ベビーブーム世代の本格的な引退は1955年生まれが定年(満で57〜60歳)を迎える2012年ごろから始まると予想されていた。しかし、金さんのケースから見るように、世界的な金融危機によって韓国経済が深刻な低迷のトンネルに入ったことで、彼らの退場時期も早まっている。

現代(ヒョンデ)経済研究院の朴ドクベ研究委員は、「全体人口の14.7%を占める約714万人のベビーブーム世代が本格的に現職から離れると、韓国社会は消費の落ち込みと労働力不足という二重苦に悩まされるだろう」と話した。