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[オピニオン]長官の道徳性

Posted February. 11, 2009 09:41,   

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「私が事を台無しにした。自分自身に失望している」。バラク・オバマ米大統領は3日、マスコミとのインタビューで、医療保険改革の最適任者に挙げた当選3回の前上院議員トム・ダシュル厚生長官内定者が、脱税問題で長官の指名辞退を申し出たことについて、自分自身を強く咎めた。「納税で、平凡な市民と権力を持つ人に適用される規律が違うという誤ったメッセージを送ることになった」と語った。

◆オバマ大統領が、大物政治家のダシュル氏の長官指名をあきらめたのは、道徳性が能力に劣らず重要と考える現実を知っているためだろう。ダシュル氏のケースは、米上院人事聴聞会がどれほど気難しいかをうかがわせるケースでもある。米国では、公職者の検証過程が徹底しており、子どもが高級公職者になることを望む親なら、幼稚園の時から自己管理を徹底してさせなければならないという話があるほどだ。出世よりも自分の名誉や家族のプライベートの保護を重要視して、高級公職をあきらめたケースもある。

◆玄仁澤(ヒョン・インテク)統一部長官内定者と元世勲(ウォン・セフン)国家情報院長内定者に対して、国会人事聴聞会とメディアから提起された疑惑は少なくない。しかし、玄内定者は、「論文の重複掲載は事実ではなく、手続きの誤りであり、贈与税の納税漏れはない。子どもの偽装転居は、就学の便宜のためだ」と主張した。玄内定者が「申し訳ない」と認めたのは、12件の交通法規違反だけだ。元内定者も、不動産投機と脱税疑惑をすべて否定した。これらには、真偽が明らかになっていない疑惑が多い。これまで明らかになった事実だけで、彼らが不適格者だと判断することはできないが、国民が失望したことは事実だ。

◆長官の道徳性を秤にかけて測ることもできない。能力はあるが道徳性が多少劣る人と、その反対の人のうち、どちらがましな長官だと判断するかは容易ではない。道徳性だけを重視するなら、子どもも財産もない聖職者だけが長官の器という笑い話もある。9年間実施してきた人事聴聞会と先進国のケースを分析して、長官の道徳性の基準を作ってみるのはどうか。先進国の人事聴聞会では、長官になるための最低限の条件として、「正直な納税」を挙げる傾向がある。所管業務における不正があっても、長官不適格者と見なさなければならないだろう。

権順澤(クォン・スンテク)論説委員 maypole@donga.com