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「ボンジュール」しか知らなかったフランス留学生、民間外交の尖兵に

「ボンジュール」しか知らなかったフランス留学生、民間外交の尖兵に

Posted December. 16, 2005 08:34,   

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1990年のある日。フランスのストラスブールにあるアルザス州知事事務室に、一人の東洋系青年が入ってきた。彼はいきなりお金を求めた。

「韓国を知らせる行事をしようと思っているが、60万フラン(当時、約1億ウォン)だけ支援してください。」

州知事はいきなりの要求に最初は慌てた。しかし、青年の肝っ玉を高く買って、あちらこちらから後援金を集めて、私費まで出して予算を用意した。青年はこのお金でストラスブールで韓国遺物展示会、韓国伝統芸術公演、韓国経済懇談会のような行事を3週間行った。アルザスで大規模な韓国関連行事が開かれたのは初めてのことだった。

主人公は、ストラスブール近くのミュールーズにあるコンサルティング会社、ハン・コーポレーションの張洪(チャン・ホン、47)社長。20年前、「ボンジュール」しか知らないにもかかわらずフランス留学に踏み切るなど、冒険心の強い学生でしかなかった彼が、今ではれっきとしたビジネスマンであると同時に、韓国とフランスを結ぶ民間外交の尖兵となっている。

張社長は、韓国の企業をアルザス地方に誘致するか、韓国に投資しようとするフランス企業に助言をする。韓国のある中小企業は、近いうちに張社長の用意したミュールーズのビジネスセンターに入居する計画だ。

同事業で張社長はフランスのマスコミと数十回もインタビューした。彼は「フランス企業も、故国を離れているにもかかわらず、韓国の企業を連れてくることを見てけな気だと思ったようだ」と話した。

韓国アルザス親善協会会長でもある張社長は、すでにアルザス地方では有名人だ。州知事、市長、大学総長など地元有識者とあまねく付き合いを持っている。大部分は張社長を通じて韓国をまともに知るようになった。誰かは彼に「一番アルザス的な韓国人、一番韓国的なアルザス人」という別称を付けてくれたりした。

張社長は27歳のとき、米国アイビーリーグの大学から合格通知を受け取ったが、フランス行きの飛行機に乗った。プランス語は一言もできない状態だった。「何かに魅了されたように」フランスへ来て、ミュールーズ大学で古文書保管学を専攻し、ストラスブール大学で「欧州統合に関する研究」で博士学位を取得した後、同地に定着した。

張社長はフランス人と親しくなる武器として「ワイン」を選択した。ワインの話から始めれば、すべての話がうまく行った。彼は「外交も同じだ」と話した。自分の物を差し出す前に、その国の精神と文化を先に体得することが重要だと言う。



gold@donga.com