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[オピニオン]ナグネ

Posted December. 14, 2005 06:19,   

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「川を渡って小麦畑を/雲に月行くよう歩くナグネ(旅人)…酒の薫る村々に燃える夕焼け」。朴木月(パク・モグォル)詩人は、「ナグネ」をこのように美しい放浪者として描いた。文学評論家の李御寧(イ・オリョン)氏は、「ナグネは、止まったり所有しないこと、すべての方向に開かれたことのイメージを持っている」と説明している。

◆ところが、旅人が詩の世界を離れると、マイナスの意味に変わる。日本植民地時代に、「あなたは主人かナグネ(客)か」と問いかけた島山・安昌浩(アン・チャンホ)先生の演説では、ナグネはマイナスのイメージを含んでいる。「わが国の主人は私たち国民です。主人が守らない家は崩れて倒れてゆき…、私たちが借家に住んだり、しばらく泊まって行くナグネだと思えば、大家さんが修理してくれるまで待つでしょう」。現実の世界でのナグネにマイナスのイメージが大きいのは、韓民族が農耕時代の定住文化の中で暮らしてきたためだという分析もある。

◆林東源(イム・ドンウォン)元国家情報院長がソウル中央地裁で開かれた盗聴事件の初公判で、「20〜30年間勤めている職業情報マンにとって、院長はナグネのような者」と語った。海外では「スパイ隊長(spy chief)」とも呼ばれる情報機関のトップたる者が、韓国ではうろうろしては去ってゆくナグネだというから、そのナグネに国の安保の重大な役目を与え、どこに使うかも知らない予算を税金として払わされてきた国民は哀れである。「ナグネの国情院長」が深く関与した対北朝鮮事業の裏側も釈然としない。

◆米中央情報局(CIA)の局長は任期が10年だ。クリントン前大統領時代に任命されたジョージ・テネット元CIA局長は、ブッシュ政権でも活躍して昨年6月に退任した。韓国のように国家情報機関のボスが頻繁に替わる国は世界にも例を見ない。政権が変われば必ず更迭され、同じ政権でも何回も替わる。歴代政権の情報機関のナグネたちは、政権を批判する勢力を監視し、弾圧する道具として機関を使うのが常だった。日が落ちると「酒の薫る村」で泊まる、朴木月詩人のナグネとは違い、政権のナグネたちは、権力の日が落ちると、刑務所に入った。

黄鎬澤(ファン・ホテク)論説委員 hthwang@donga.com