●「希望と楽しさ」与える商品がヒット
不景気や先行きへの不安が重なり、消費者はいつになく心の癒しを求めている。
今年、大人気を集めたテレビドラマ「私の名前はキムサムスン」では、ぽっちゃり体型のモテナイ女性を主人公にし、ドラマを見る多くの女性に心の癒しや「私でもできる」という勇気を与えた。
LGテレコムが展開する販売店の「フォン・アンド・ファン」は、「楽しさ」が売りだ。従来の販売店とは違い、ここでは店内に置いてある携帯電話で、ゲームや音楽を楽しむことができる。
GSワッソンズのような体験型大型販売店が次々と開店している背景には、楽しさを前面に出すことで、消費者の購買欲をくすぐるという戦略がある。
楽しさと感性を結びつけた電子製品も人気だ。
MP3プレーヤーでは「アイポッド」や「アイリバー・U10」が、携帯電話の端末機では「スリムフォン」が消費者の心をつかんだ。最近は洗濯機でも派手な色の「カラー洗濯機」が売れている。白物家電という言葉はもう古い。
アイスクリーム店の「レッドマンゴー」は、アイスクリームにのせるトッピングを消費者が選べるようにすることで「アイスクリームをつくる楽しさ」を与えた。
LG経済研究院のヨ・ジュンサン責任研究員は、「暗い不況のなか、心の癒しを追い求めていた一年だった」と評した。
●「ウェルビーイング」生活に浸透
生活の質の向上を求める「ウェルビーイング(well−being)」は、今では生活や文化として定着しつつある。大型小売店「Eマート」のインスタント・ラーメンの売り上げは、今年11月まで昨年同期比で12%ほど減少した。1988年以来一度も減ったことのないラーメンの売り上げだった。
Eマート関係者は、「ウェルビーイングの食事が定着し、塩分の取り過ぎにつながりやすいラーメンの消費が減ったのではないか」と考えている。
健康や安定を目指すウェルビーイング文化は、あらゆる製品の判断基準になっている。飲みものではお茶やミネラルウォーターの売れ行きが好調だ。ビタミンドリンクや健康サプリメントの人気も続いている。
電子製品販売店の「テクノマート」では、空気清浄機付きの冷蔵庫が売れ筋だった。ほこりやダニを心配する主婦は「ハンキョンヒ・スチーム掃除機」に強い関心を示した。
老後の生活に備える人の増加で、積立式ファンドなどの株式型ファンド商品が絶好調となった。
●低価or高価
低価化粧品メーカーの「ザ・フェースショップ」と「ミーシャ」の高速成長は、価格と商品の質のいずれも重視する実利的な消費パターンの一面を示している。低価化粧品市場の拡大により、国内の化粧品市場は高価と低価の二極化が進んだ。
一泊30万〜40万ウォンもする特級ホテルが主流だったホテル市場も、10万ウォン代の中低価ホテルの伸びが目立ち、成長の可能性を感じさせた。
原油高が続くなか、軽油車や液化石油ガス(LPG)車を選ぶ費者も増えてきた。ガソリンスタンドで割引がきくクレジットカードも好調だった。
高価な上流品の需要も大きく伸びた。プラズマ・ディスプレー・パネル(PDP)テレビや液晶表示装置(LCD)テレビ、ドラム洗濯機など高価な家電への需要増により、3年連続で下がり続けていたデパートの売り上げが今年は4年ぶりに上昇に転じた。
トレンドコンサルティング会社「アイエフネットワーク」の金ヘリョン社長は、「今年と同様、来年も楽しさとテクノロジーを融合した『ファノロジー(funologie)』のトレンドが、消費行動に最も大きな影響を及ぼす」と予想した。
jameshuh@donga.com