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大学研究所の希少標本、20万点がほったらかしに

大学研究所の希少標本、20万点がほったらかしに

Posted December. 01, 2005 03:22,   

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30日午後、ソウル大学自然学部生命科学部の建物。

ホルマリンの缶が散らばっている階段を上がってさびた錠を開けると、40坪あまりの屋上に、鉄製コンテナがひとつ、姿を現した。コンテナの隅には、標本箱数十個がビニール袋に包まれたままごみのように積み上げられていた。

この箱の中には、形を分別できないほど枯渇した希少の動物標本が入っていた。箱に積もったうず高いほこりは、コンテナが入った1997年以来、これらの標本がまともに管理されていないことを示している。

同大学の宋聖準(ソン・ソンジュン)研究教授は「コンテナは仮の建物なので、区役所から撤去要請が引き続き入ってくる」と延べ、「標本室が備えるべき換気装置とエアコンもなしく、違法に電気を引いて明るくしている」と話した。

国内で最大規模の希少動植物標本を保有するソウル大自然学部の生命科学部が、スペース不足のため各標本を廃棄する危機に見舞われた。生命科学部は2006年に新しい建物であるBK棟への移転をひかえ、既存の標本を保管するスペースさえ確保することができなかった。生命工学技術(BT)など応用研究に対する支援は大きく増えているが、基礎学問である生物分類学などは、行き場を失っている。

▲貴重な標本ほったらかしに〓現在ソウル大学自然学部と農生学部が保有する動植物の標本は約68万点。

特に自然学部が保有する植物標本20万点は、現在、韓国国内に唯一残された北朝鮮の植物標本で、研究価値が非常に高い。しかし、これらの動植物の標本は、事実上放置されている。

1997年に教員たちが私費を投じて設置した生命科学部の屋上にあるコンテナには、約1万点の動物標本が整理されている。整理されてない動物標本は約5万点で、昆虫標本数十万点は管理がまもとに行われず、すでに腐ってしまっている。数千点の魚類、鳥類、哺乳類の剥製標本も管理がまともに行われず、廃棄直前の状態だ。植物標本も教員の研究室のキャビネットなどにたまっており、虫がついて状態が損なわれている。

同大学生命工学部の金元(キム・ウォン)教授は、「一度も広い空間に広げて数えてみたことがないため、正確な標本数さえ把握できない」とし「1年間に採集される約1000個のサンプルのうち、60%程度がスペース不足と管理不備で変形するか、壊れるかしている」と話した。

数年前に希少昆虫である「ヨロイゴキブリ」を発見した生命工学部の崔在天(チェ・ジェチョン)教授は、悩んだすえ、この標本をフランスのパリ国立自然史博物館に送った。崔教授は「適当な標本室がなく、標本の消失や紛失などを憂慮して、取り返すことができないと知りながらも外国に標本を送った」と話した。

▲基礎科学への認識不足〓生物分類学科のような基礎学問の危機は、目に見える技術開発投資ばかりへの研究費の集中が原因だ。

生命科学部の朴鍾郁(パク・ジョンウク)教授は「基礎科学を研究する教員のうち3分の1ほどは研究費支援を一銭も受けることができない」とし、「新物質開発の礎になる基礎学問が死にかけている」と話した。

海外のケースでは、すべての生物研究に分類学者がついており、薬剤抽出についての助言をして、新薬開発でおびただしい利益を得ることもある。世界的な解熱・鎮痛剤のアスピリンも、ドイツで柳から抽出した成分によってつくられた。海外の大学は、専任職員やボランティアなどが動植物標本室を体系的に管理している。

ソウル大農業生命学部標本館長の張珍成(チャン・ジンソン)教授は、「学校はいつだって予算不足を理由にして、標本を保管するスペースさえ用意してくれない」と述べ、「動植物標本が、スペースばかり食うごみのように認識されている」と話した。



mint4a@donga.com