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[オピニオン]清渓川のオルデンバーグ

Posted November. 17, 2005 07:58,   

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「文化享受権」という言葉がはやっている。だれしも文化生活を享受する権利があるという意味だ。地方でもソウルのように水準の高い文化に接せられるべきだし、公演場や展示場の敷居も下げられるべきだ。清渓川(チョンゲチョン)と新しい国立中央博物観に集中する人波は、文化と余暇生活への欲求が極めて高くなったことを証明している。「民意」に敏感な自治体首長らは、文化施設を建てて行事を誘致するのに熱心だ。「文化強国」フランスでは、このような流れを「文化民主化」という言葉で表現する。

◆清渓川入口の清渓広場に、米国のポップアート・美術家のクレス・オルデンバーグの作品が設置されるという話だ。ポップアートは1960年代、米国のニューヨークを中心に展開された現代美術のジャンルのひとつ。ポップ(pop)という言葉どおり大衆に身近な美術を追求する。数十ものマリリン・モンローの顔を並べたアンドリュー・ウォーホラの作品が代表的だ。これが美術品と言えるのかという指摘もあるが、その中にはマスメディア社会、大量消費社会の断面とこれに対する風刺が盛り込まれている。

◆76歳のオルデンバーグは、アイスクリームコーンやノコギリ、ハンバーガーなど日常的なアイテムを大きく拡大した野外彫刻を披露した。アイスクリームコーンの作品はビルのてっぺんに引っ繰り返されたまま置かれ、行き交う人々の笑いを誘う。厳かな表情で眺めるべき、難解な美術から脱して、大衆とともに楽しむ美術を試みたのだ。高度の哲学と精神世界を追求する既存美術に対するアンチテーゼだ。

◆オルデンバーグの作品は、世界のいろんな所に設置されて都市の象徴物になった。しかし、一部の人々は清渓川復元の歴史性にマッチしないと異議を申し立てたりする。このような論争はいくらでも歓迎するが、オルデンバーグを単純に、産業資本主義伝播の尖兵へと追い込むのは納得しがたい。むしろ、美術と大衆を身近なものにした「文化民主化」の功労者ではないか。オルデンバーグが清渓川にどんな作品を設置するかはまだ決まっていないが、清渓川を愛する人々に、少しでも文化的な余裕を与えることができれば、それだけでも十分ではないか。

洪贊植(ホン・チャンシク)論説委員 chansik@donga.com