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不滅の漢字に刻まれた歴史の綾

Posted November. 12, 2005 08:49,   

한국어

『漢字の歴史にそって歩く』キム・ギョンイル著、284頁、1万2000ウォン、バダ出版社。

デジタル時代に生き残った最後の象形文字、漢字。

漢字は、時代ごとに色と香の異なる文化の花を咲かせ、数千年の熟成を経て今日に至っている。亀の骨に刀で刻んで書いた原始文字は「電子ペン」の時代にも依然として息づいている。

かつて白人文化の優越に立ち、「文字発展の最下位段階に属する感覚文字」と漢字をこきおろしたのはヘーゲルだ。しかし、イメージと感性、イメージとテキストの調和が強調される21世紀に漢字の魅力はさらにきわだっているわけで、これはまさに、文明史的逆転ではないか。

漢字一つ一つの内面には、長い歳月の間に、中原と韓半島、日本列島を出入りした多くの人々の息づかいが込められている。東洋人たちの生、その生を縦糸や横糸として編まれた歴史の綾が刻まれている。甲骨文字と青銅器文字を解読し、その中に隠された東アジア文化の起源を探索してきた著者。著者は漢字を深く受けとめるべき理由をこう説明する。

「よかれあしかれ、私たちは漢字を通じてもたらされた文化的存在だ。漢字は東アジア文化の深い屈折の節目を記憶する歴史のアイコンだ。そこに耳を傾ければ、文化的洞察と新しい知恵を得ることができる。」

著者は旧石器時代の絵文字から甲骨文字、金文字、篆書、隷書、草書、行書、楷書、そして略字(簡体字)に至るまで、漢字書体の変化を探りつつ、文字と人間の足跡をともに取り上げる。

草書と行書の時代を見てみよう。

巨大な一国家が中央集権の手網を手放して起こった魏晋南北朝は、「インディバンド」のようだった道家が、にわかに主流に立った時期だ。柔軟な時代の波に乗り、一国の隷書は美的感性をたっぷり込めた字体に変身する。

政治的だった漢字の字体が、初めて芸術的感性の洗礼を受けた。隷書の筆画に自由の羽をつけたのは羲之だった。

しかし、漢字の字体は宋・明時代に至って徐々に命を失ってゆく。そして清末期の革命のうちに、最大の試練に見舞われる。20世紀初めの知識人たちは、亡国の元凶として「儒教の器」である漢字を挙げた。だれもが「漢字不滅、中国必亡!」を叫んだ。しかし漢字は死ななかった。紆余曲折のあげく、中国人たちは悟った。「漢字滅、中国亦滅!」

この矛盾の現場において、折衷を試みたのが毛沢東だ。毛沢東は漢字の一部を引き離す方法で漢字の生命をひき延ばした。今日の略字だ。漢字は熱いふいごの中で、もう一度新しい姿に鍛えられた。

英語が幅を利かせる世界の真只中を、川の水のように悠々と流れる漢字。この粘り強い生命力はどこから来るのだろうか?

それは、象形の力だという。絵の力、イメージの力だ。イメージとは、説明をこえて直観に投げつける剛速球だ。いわば「オフラインのモバイル」だと言えようか。

いまや漢字は、アイコン(イメージ)とテキストが合成された新しい意思疎通の道具に生まれ変わっているのだ。中国人たちは今、その漢字を見つつ、漢字の隠す深いイメージの海の中に潜り込んでいる。



keywoo@donga.com