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[社説]「北より南が、先に急変事態を迎える恐れもある」

[社説]「北より南が、先に急変事態を迎える恐れもある」

Posted November. 05, 2005 03:02,   

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国会・国防委員会に提出された北朝鮮急変事態に関する政策研究報告書の内容は、「最上の安保は最悪に備えること」という平凡な真理を改めて考えさせる。京畿(キョンギ)大学の南柱洪(ナム・ジュホン)と延世(ヨンセ)大学のユン・テヨン教授チームは、国防委の依頼を受けて作成した報告書で、「北朝鮮の急変事態は、未来潜在型ではなく現在進行形であるにもかかわらず、韓国政府は、韓半島の和平体制の構築により韓半島の冷戦を終結できるという『希望的構想』だけをもっている」と指摘した。たとえ北朝鮮核問題が解決したとしても、北朝鮮は、体制開放の圧力などによってみずから崩壊するなど、大きな混乱に陥る可能性があるということだ。

さらに衝撃的なことは、「北朝鮮よりも韓国が、先に急変事態を迎える恐れもある」という警告だ。報告書は、東国(トングク)大学の姜禎求(カン・ジョング)教授の親北朝鮮発言をめぐる韓国内のイデオロギー対立などを『銃声のない内戦状態』と規定した。また、金大中(キム・デジュン)政府を引き継いだ盧武鉉(ノ・ムヒョン)政府の対北朝鮮支援で、北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)政権は相対的に安定を取り戻したが、一方の韓国は、南・南対立とアイデンティティの混乱で、「天下大乱」に陥ったと指摘した。米軍が保有する戦時作戦統制権の還収問題についても、在韓米軍の撤収につながる可能性があるという理由から、「決して急いではいけない」と忠告した。

これに先立ち、韓半島専門家のドン・オーバードファー教授は一昨日、高麗(コリョ)大学での講演で、「韓国はアイデンティティ危機を経験している。米政府と政界は右傾化、韓国政府と政界は左傾化して、互いに違う方向に進んでいる」と述べた。「北朝鮮はもはや脅威ではないと考えるなら、数万人の米軍が駐留する必要はない」とも話した。

問題は、政府が「韓米協力」を緩め、「民族協力」を強化する安保状況についての憂慮を「冷戦守旧」の論理と決めつけて、背を向けてきたという点だ。さらに政府は、今年初めに、北朝鮮の急変事態に備え、「概念計画5029」を補完・発展させようとする韓米連合司令部の検討を「北朝鮮を刺激する恐れがある」という理由で中断させた。しかし、北朝鮮は今でも「安保危機」の根源である。安保とは、1%の可能性にも備えるものだ。「希望的構想」だけでは、非常事態に備えることはできない。