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[オピニオン]ソン・ユグン君

Posted October. 26, 2005 07:33,   

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02年秋のある日曜日、京畿道果川市(キョンギド・クァチョンシ)ソウル大公園のサルの檻の前。4歳くらいだろうか。ある少年がサルの群れをじっと見つめていた。同じ年ごろの他の子供たちは、見るやら見ないやら、親に手を握られたまま、片時もじっとしてはいなかったが、この子は違った。サルを見ながら首を振ったり、時折ほほえんだり、その子もサルの家族になったかのようだった。それから1時間、2時間…。少年は4時間半後に、ようやく片すみのベンチに座っていた親のもとへ帰った。

◆一昨日、随時選考で仁荷(インハ)大に合格した8歳児の「天才科学少年」、ソン・ユグン君の話だ。その時、ソン君は何を考えていたのだろうか。父親も知りたがったが、なにも尋ねなかった。聞いた後、子供の考えに「○」印や「×」印をつけるかもしれないからだ。20年、30年後の新しい世界を描かなければならない子供に、親の未熟な判断は何の役にも立たないだろう。ソン君が何かを尋ねてくると、いまでも両親の返事は決まっている。「わからない」。「山ってなに?」と尋ねられた時は、無言のまま、山へ連れていった。自ら感じ、考えるように...。

◆ソン君の集中力のみなもとは何にあるのだろう。ソン君の両親は、祖母の「はい、はい」教育から解答を見いだした。生まれつきではないのだ。共働き夫婦だったソン君の両親は、夫の実家の両親と妻の母親と一緒に暮らしてきた。6歳までソン君の世話をしたのは2人の祖母だった。早期教育に気を配る余裕などなかった。祖母の教育に、特別なものはない。子供がすることを制止せず、そのまま見守っただけだ。アリが穴を掘るのを1時間見つめていても、そのままほうっておいた。

◆小中高12年の課程を9ヵ月で終えた天才少年はこうして生まれた。ポイントは、解答を見いだす才能ではなく、考える力である。2×2は4とはかぎらない。ソン君は「なぜだろうか」から考えた。両親は考えの糸口を見いだせるように手助けをした。演算の概念を体得すると、容易に微積分まで進んだ。ソン君の「成功」は、学校教育のシステムに再考をうながしている。

宋大根(ソン・デグン)論説委員dksong@donga.com